疼痛検査はVASだけじゃない!痛みの部位を特定していこう

2018年9月1日

患者さんの「痛み」と一緒に向き合い、日々、精進されている皆様、こんばんは。

痛みは、リハビリ職だけではなく、医師、柔整師、鍼灸師、薬剤師など、様々な職種の頭を悩ませることの多い徴候です。

さらに、患者さんにとっても深刻な主訴になることが多く、痛みを緩和することが、なによりも優先される場合もあります。

そこで今日は、痛みの治療に欠かせない、疼痛検査の進め方について、お伝えしていきたいと思います。

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疼痛検査の進め方

疼痛検査となると、

・フェイススケール
6つの表情から、自分の痛みと近いものを選択させる

・VAS(Visual Analog Scale)
10cmの線を見せて、その痛みがどのあたりか線を引かせる

・NRS(Numerical Rating Scale)
0~10の11段階の中で、その痛みがどのあたりか選択させる

このようなスケールを使って、その痛みの度合いを調べるのが一般的です。

しかし、これだけでは何の意味もありません。

患者さんが知りたいのは、

 ・なぜ痛みが出ているのか

 ・どうやったら痛みが減るのか

ということだけです。

まぁ、この2つは最終目標ですので、まず初めにやるべきことは、痛みの部位を特定することです。

私の個人的な考えでは、この疼痛部位の特定が重要であり、今後の治療を大きく左右するものだと思っております。

では1つずつ説明していきます。

痛みを誘発させる

まず、痛みを評価するということは、

 ・痛くなる動作をしてみて!

 ・痛いところに触るよ!

 ・この場所とこの場所、どっちが痛い?

このように「痛い」って言っている人に、あえて痛いことをさせる検査だ、ということを認識して頂きたいと思います。

整形外科の、ストレステストも、これに含まれます。

しかし、せっかく我慢して、言われた通りに検査に付き合ってみたけど、

こんな短い検査結果では、患者さんも納得しないでしょう。

むしろ、動いた時に腰が痛い、どのくらい痛む、というのは本人が一番よく知っています。

よって、ここでは答えを求めるのではなく、

 ・背伸びすると、腰に痛みがでる

 ・その痛みはVASで7程度だった

このような、事務的な事実だけを記載するだけになります。

その後に、どうしたら、

 ・背伸びをしても腰に痛みがでない

 ・痛みが出てもVASで7未満になる

このようになるのか?それを紐解いていく作業をすれば良いのです。

まずは、痛みに関する現象を把握するために、痛みを誘発する作業は不可欠なのですね。

痛みの場所を特定していく

例えば、肩を屈曲すると、痛くて挙げられない人がいたとします。

と言われても「肩」を指す範囲は、人によってまちまちです。

痛みという情報は曖昧ですので、痛みを感じている本人も特定できないことが大半です。

まずは、範囲を大まかに絞っていきましょう。

肩の前面をさすりながら「こっちが前」、後面をさすりながら「こっちが後ろ」、痛みがあるのはどっちですか?と聞いてみましょう。

たったこれだけで、広範囲だった痛みの範囲が1/2になります。

続いて同じ要領で、上下にも分けてみましょう。

さらに範囲が1/2になりました。

この2つの手順をしたことで、ターゲットの範囲が、最初と比べて1/4に絞り込まれました。

例えば、肩の「前面」+「上側」となれば、考えられる筋は何でしょうか?

三角筋前部~中部、上腕二頭筋、大胸筋などが考えられるので、もう少し絞るために、各筋を指で刺激していきます。

もしも、上腕二頭筋の長頭に、圧刺激をすることで痛みが出現するのであれば、患者さんに、もう一度、肩屈曲をしてもらい、その痛みと、先程の圧刺激の痛みが同じなのかを確認します。

もし、上腕二頭筋長頭の痛みと一致すれば、

 ① 肩関節の屈曲で痛みが出る

 ② 上腕二頭筋の長頭に圧痛がある

 ③ 肩関節屈筋群の収縮時痛がある

 ④ 痛みが肩関節の屈曲運動を阻害している

といった、仮説が立てることができます。

さらに、ヤーガソンテストで、上腕二頭筋の長頭に対する、ダメ押しの検査をしておくと、仮説がもっと際立ちますね。

この作業は、動作時の痛みと、圧痛点の部位が一致するまで、何回も根気よく繰り返していきます。

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痛みを変化させてみる

痛みの評価は、痛みが変化しなくては前進しません。

・痛みが軽くなった
  ⇒動かせるようになった

・痛みが強くなってしまった
  ⇒もっと動かせなくなった

 どちらの考察も、痛みが原因で関節運動が阻害されている、というものになる。

このように、痛みが変化することで、関節運動が良くなった、悪くなったという、身体機能の変化が情報として必要なのです。

それでは、先ほどの、上腕二頭筋の仮説を検証してみましょう。

収縮時痛があるということは、

「力を入れない方が良いよ!」

という脳からのメッセージが送られていることになります。

脳は気を利かせ、拮抗筋である上腕三頭筋に、とある指令を送ります。

上腕三頭筋が、防御性収縮をすることで、上腕二頭筋の収縮を邪魔します。

防御性収縮と聞くと、痛みを出している筋に起こるようなイメージですが、実は、その動きを抑制するために、反対側の筋にも起こる現象なんですね。

よって、

上腕二頭筋の痛みが減ったら、腕が軽くなった

上腕三頭筋のストレッチをすると、腕が挙げやすい

といったように、まずは機能面に変化を与えなくては、評価は進まないんですね。

このような検証作業により、上腕二頭筋長頭部位の痛みと、肩を屈曲させた時の痛みが、完璧につながることになりました。

このような評価が整ったところで、あとは、どうすれば上腕二頭筋の痛みが減るのかを検証していきます。

 ストレッチ後には、どうなった?

 運動をさせてみたら、どうなった?

アプローチ後に、プラスに働いたのか、マイナスに働いたのか、コツコツと検証作業を進めて下さい。

もちろん、急性期に対する温熱療法など、禁忌な検証はダメですよ!絶対にやらないで下さいね。

おわりに

さて、疼痛検査の中でも、痛みの特定方法に焦点を当てて、お伝えしてみました。

難しい部分もあったかと思いますが、まずは、患者さんの痛みを分かってあげることが、第一歩になります。

それは、主観的な評価である、VASやNRSだけでは不可能です。

痛みの部位を探し当てるのは、セラピストにも、患者さんにも根気が必要です。慎重かつ恐れず、しっかりと評価をしてみて下さい。

それでは皆さんの手で、患者さんの痛みが緩和しますように。

今日はこの辺りで、アドュー!

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