歩行における中殿筋の役割!異常歩行を引き起こすメカニズムとは?

2018年8月31日

歩行の評価中、触診に集中し過ぎて、歩容の確認を忘れてしまうという皆様、こんばんは。

今日の歩行分析の説明では、1つの筋に焦点を当ててみたいと思います。

その筋は、立脚中期において、非常に重要な役割をもつ「中殿筋」になります。

中殿筋のトラブルは、異常歩行に直結しますので、そのメカニズムも合わせて解説していきたいと思います。

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歩行での中臀筋の役割

中臀筋とは?

それではまず、中殿筋に関する解剖学、運動学を軽くおさらいしてみましょう。

起始・停止

教科書的には、

 起始=腸骨後面 停止=大転子

とされております。

でも実際は、起始は上後腸骨棘から、腸骨稜に沿って上前腸骨棘まで広がり、そこから大転子を頂点とする扇型になっています。

上記した3つのランドマークを結べば、中殿筋の全体像が解ると思います。

関節運動

股関節外転筋として有名な中殿筋ですが、実は、ASIS側の線維が優位に活動すると、屈曲と内旋にも関与します。

反対に、PSIS側の線維が優位に活動すると、伸展と外旋にも働くという、本当にマルチな筋肉なんですね。

このように、中殿筋の筋線維は様々な角度がついていますので、筋力訓練を行う際には、走行している線維の方向に注意していきましょう。

支配神経

支配神経は、上殿神経(L4~S1)です。

実は、中殿筋は面積が広い割に、重要な神経や大きな血管が走行していません。坐骨神経のような太い神経は深層にあり、かつ大殿筋や梨状筋でがっちりガードされています。

そのため、筋肉注射が必要な場合、中殿筋が選択されます。子供の頃、お尻に注射された経験があると思いますが、針で重要な組織を傷つけないためのリスク管理なんですね。

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異常歩行への関与

歩行における中殿筋の役割は、とても重要です。

そのため、中殿筋の活動が何の役に立っているのかを知っておけば、異常歩行のメカニズムは簡単に理解できるということです。

それでは、1つずつ確認してみましょう。

立脚中期での活動

足底接地から立脚中期に変わる時、両脚支持から片脚支持になります。

この相で、支持側の中殿筋が活動することにより、急激な股関節の内転と骨盤の落下を防止してくれます。

この時の筋活動は遠心性収縮で、荷重移動に伴う、骨盤の側方移動をブレーキしてくれます。

活動の確認方法

まずは、患者さんを触る前に、自分の身体で中殿筋の活動を確かめましょう!

それでは、大転子の上にある隙間に、自分の指を強めに押し込んで下さい。その指を緩めないまま、歩行をしてみましょう。

立脚中期で荷重が移ると同時に、指が押し返されるのを感じ取れると思います。

トレンデレンブルグ歩行

異常歩行の中でも知名度が高く、観察でも分かりやすいのが、トレンデレンブルグ歩行です。

この歩行は中殿筋歩行とも呼ばれ、立脚中期で、中殿筋の機能が不足することで起こる、有名な現象になります。

しかし、トレンデレンブルグ歩行を確認した時、中殿筋の筋力低下だけで処理されてしまうのが残念です。

筋力ではなく、中殿筋の収縮速度が遅い、もしくは筋活動のタイミング遅い場合などにも起こります。要するに、筋のパワーが最大になる前に、立脚中期を迎えてしまうということです。

この相では、中殿筋をしっかり触診して、収縮タイミングが適切かどうかも判断してみましょう!

それともう1つ、反対側の起立筋群の活動にも着目してみて下さい。

いくら中殿筋にパワーがあっても、骨盤を上に引き上げる、起立筋群の活動がなければ意味がありません。

動画を観てみると解ると思いますが、右足を挙げた瞬間に、骨盤が右へ落下していますね。

中殿筋だけで支えるには、ちょっと荷が重すぎますので、起立筋と協調した活動ができているか、合わせて確認していきましょう!

ドュシェンヌ歩行

中殿筋が関与する、もう1つの異常歩行には、ドュシェンヌ歩行があります。

トレンデレンブルグ歩行との違いは、

  トレンデレンブルグ歩行 ドュシェンヌ歩行
股関節の運動 内転運動 外転運動
中殿筋の収縮 求心性収縮 遠心性収縮
骨盤の傾き 遊脚側へ傾斜 立脚側へ傾斜

こうなります。

現象が、反対側に出現するトレンデレンブルグ歩行と、同側に出現するドュシェンヌ歩行。

この2つの違いは覚えておきましょう!

おわりに

個人的な経験談として、中殿筋は潜在的な疼痛が多く隠れており、痛みにより筋出力が低下している患者さんが多いと感じております。

股関節周囲の痛みは歩行に出やすいので、痛みによる筋出力の低下を見落とさないよう、注意深く評価して頂ければと思います。

また、これらの中殿筋が関与する異常歩行は、治療による変化が出やすいので、

 歩行観察 → 治療 → 歩行観察

といったように、患者さんに適したアプローチ方法を、探して頂ければと思います。

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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