リハビリ 歩行分析!クリアランス低下の原因とその対応

2018年9月3日

歩行観察では、つま先の引きずりや、つまづきに目が行ってしまうという皆様、こんばんは。

極端な話ですが、床と足部に1mmでも隙間があれば、つまづくことはありません。

しかし、この部分の隙間が十分でないと、

 あれ?これはマズイぞ!

と目が離せなくなってしまいますね。

そこで今日は、床と足部の隙間について、歩行観察と分析のポイントを交えて、解説していきたいと思います。

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クリアランスとは?

歩行観察では、クリアランスという言葉に、英語で、つま先という意味のトゥ(toe)を足して、

 「トゥ・クリアランスが低下している!」

なんて言うことがあります。

この場合、床とつま先の間隔が、十分でない場合に使われます。まぁ、ハッキリ言って、曖昧な「印象」でしかない言葉ですが、

 右遊脚初期でトゥクリアランスが低下

なんて聞いただけで、容易にイメージできるので、とても便利な言葉ではありますよね。

クリアランス低下の原因

クリアランスの問題は、遊脚相で起こります。

そこで、遊脚初期、中期、終期ごとの原因について、解説してみたいと思います。

遊脚初期で起こる場合

ISwでクリアランスが低下するケースは、つま先が離地した直後に起こります。

一見、つま先は、足関節の背屈により、床から離れるようなイメージがありますが、実は、つま先を床から離す関節は、股関節になります。

TSt~PSwで、しっかりと伸展した股関節を、ISwで急激に屈曲させることで、膝の屈曲が起こります。

これは、ハムストリングスの活動ではなく、慣性の法則によるものですね。

この膝関節の屈曲が不十分になることで、遊脚初期でのトゥクリアランス低下が、起こることがあります。

こんな患者さんを見かけたら、TSt~ISwに掛けて股関節を素早く屈曲させるような口頭指示をしてみると良いでしょう。

しかし、足関節背屈機能が無く、下垂足(Drop foot)を呈する方は、いくら素早い股関節の屈曲を起こしたとしても回避できません。

膝関節が屈曲すると同時に、足関節が底屈してしまい、つま先の引っかかりが起こります。

そのため、TStではあえて股関節を伸展せず、股関節を過剰に屈曲しながら歩きます。

これが鶏歩のメカニズムなのですね。

この相で、トゥクリアランスの低下を感じたら、股関節や膝関節の動きにも注目し、観察や分析を進めてみて下さい。

股関節と膝関節の関係については、

こちらをご参照下さい。

遊脚中期で起こる場合

MSwでは、足底面と床のクリアランスが低下することがあります。

ここでは、立脚側への荷重移動が、不十分だった場合に起こる、クリアランスの低下を解説したいと思います。

本来であれば、しっかり立脚相に荷重が移動しているため、遊脚中期での股関節の屈曲運動ではしっかりと膝屈曲位、足背屈位で迎える余裕があります。

しかし、荷重移動が不十分な場合、MSwの途中で荷重が遊脚側に戻ってしまうため、予定よりも早めに、足部を接地せざるを得ません。

本当は、TSwになってから、踵接地の準備をしたいけど、それでは間に合わないから、仕方なく着地を早めている、ということです。

このような患者さんを見かけたら、平行棒を両手把持させ、MSwの時間にゆとりを持たせてみて下さい。

もしくは、介助歩行で、立脚側への荷重移動を促してみると良いでしょう。

荷重移動によって、この相でのクリアランスに変化があるか?これを評価してみましょう。

遊脚後期で起こる場合

TSwでは、踵と床のクリアランスが低下することがあります。

この場合は、純粋に足関節背屈の筋力が無かったり、位置覚、運動覚の障害が考えられます。

このような場合、すぐにMMTや感覚検査をするのではなく、

 踵から着いて下さい!

と口頭指示を入れてみましょう。

患者さんが、やっていなかっただけ?かもしれません。つま先を意識したら、案外できちゃうこともありますよ。

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クリアランスへの対応

歩いている際、自分の足部と床の空間なんて、気にしませんよね。

だから、まずは、

 できない? or やっていない?

この1/2を絞る必要があります。

そのためには、実際にやって欲しい歩き方を、患者さんの前でデモンストレーションし、理解した上で、再度、歩いてもらう必要がありますね。

どうしても指示が、上手く入力されない患者さんには、

「踵だけで歩いて下さい」

という指示も有効です。

踵歩きができれば、少なくても、足関節の背屈には制限がない!と確認できますもんね。

また、装具を付けさせて、歩きやすさの違いを体感してもらうのも、手かもしれません。

この装具は、下垂足の方に対し、治療用装具、補装具として、何度も処方したことがあります。

そして、アンクルソフトを付けた患者さんは、逆に「足が軽くなる!」と言います。

それほど、つま先を意識しながら歩いている、ということなんでしょうね。

過剰なクリアランス

クリアランスと聞くと、すぐに「低下」と結び付けてしまいがちです。しかし、先ほど紹介した鶏歩では、床とのクリアランスが、10cm以上になることもあります。

実は、正常な歩行であれば、ほとんどクリアランスは必要ありません。

歩行中の各関節の動きは、常に一定ですので、名刺1枚分あれば、十分なのです。

歩いている人を、矢状面から観察すると、つま先・足底面・踵部は、ギリギリの低空飛行で振り出しています。

多少つまづいたとしても、すぐにステップ反応で踏み止まれるので、問題ありません。

しかし、このようなバランス反応に、自信がない人であれば、クリアランスを過剰にすることで、転倒に対する保険を掛けているかもしれません。

一応、ステップ反応や、ホッピング反応も合わせて、評価しておくと良いと思います。

おわりに

さて、クリアランスについて、お話してみました。

 引きずり歩行  すり足歩行

ものすごい分かり易い言葉ですが、歩行観察には向かないですね。どの関節が原因で起こっているのか、遊脚側に問題があるのか、立脚側に問題があるのか、1つずつ確認していくことで、その正体を暴くことが出来るはずです。

つま先や足部だけに捉われず、頭の位置や体幹、反対側の下肢にまで幅を広げて観察し、徐々に分析に繋げていって欲しいと思います。

ぜひ、チャレンジしてみて下さい!

それでは、皆さんのトゥクリアランスが向上しますように。

今日はこの辺りで、アドュー!

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