筋緊張検査!亢進と低下、痙縮と固縮を判断する方法

2018年9月3日

日ごろから、患者さんの筋緊張を、両手で感じ取っている皆様、こんにちは。

中枢の分野では、筋緊張検査がよく使われます。

しかし、亢進とか、低下とかの記録だけで、簡単に済まされてしまうので、ちょっと残念です。

そこで今日は、筋緊張では何を、調べたら良いのか、検査のコツや注意点について、お伝えしていきたいと思います。

<スポンサーリンク>

筋緊張とは

呼び方について

臨床の場では、筋緊張を、筋トーン(tone)、筋トーヌス(tonus)などと、英語を交えて呼ぶことが多いです。

また、亢進(hyper)や低下(hypo)を足すことで、 hypertonus、 hypotonusと、表現することもあります。

ただし、

 痙縮:Spasticity(スパスティシティ)

 固縮:Rigidity(リジディティ)

こちらは、英語にすると舌を噛んでしまうので、恐らく大半の方は、痙縮、固縮と日本語で言うでしょう。

役割について

筋の緊張は、車のアイドリングと一緒です。

これは、何かあった時のため、すぐに行動できるように、常に一定の収縮をしながら、待機しているのですね。

もしも、筋が緊張しておらず、たるんだ状態だったとしたら、たとえ筋が収縮したとしても、パワーが発揮されません。

さらに、その状態で、腕や足が引っ張られたら、関節や神経が大ダメージを受けるでしょう。

身体を防御するため、危険を回避するため、筋の緊張は、24時間続いていると思って下さい。

筋緊張検査の種類

それでは、筋緊張を診るための、検査方法などをご紹介していきます。

被動性検査

基本はこれになります。

被動性の読み方は「ひどうせい」で、被害や被弾のように、何かを被る(こうむる)という意味になります。

よって「動かされる検査」のため、被験者は脱力した状態での、他動運動が基本になります。

方法は、検査する筋の、起始と停止を引き離すよう動かし、その時の「抵抗感」を表します。

例えば、上腕二頭筋であれば、下の図のように、屈曲している肘関節を、伸展にさせるよう操作します。

検査結果は、検査者が、

    強い抵抗を感じた ⇒ 筋緊張亢進

 普通の抵抗を感じた ⇒ 正常(Normal)

 抵抗を感じなかった ⇒ 筋緊張低下

となります。

抵抗感は主観的な指標ですので、健常者でたくさん練習し、一般的な筋の抵抗感を体験しておきましょう。

懸振性検査

懸振性(けんしんせい)検査では、被験者の上肢が「でんでん太鼓」のように、左右へ行ったり来たりするよう、体幹を揺すっていく検査です。

下肢であれば、左右の股関節を交互に揺さぶり、骨盤の動揺を観察し、筋緊張の状態を検査します。

この検査では、完全な脱力が条件になりますので、被験者に楽な姿勢を取らせることが必須となります。

特徴は、どちらの筋緊張が高いのか?という、左右差が簡単に見分けられることです。

アシュワーススケール

現在は、6段階の変法が主流になっています。

このスケールは、被動性検査と同様、被験者の関節他動運動を、引っ掛かり感や、抵抗がある可動域の範囲などを評価し、痙縮について評価していきます。

【Modifide Ashwors Scale】

グレード 判定基準
筋緊張の増加はなし
筋緊張は軽度の増加。わずかな引っ掛かりが断続的に出現。最終域付近で抵抗感が増加する。
1+ 筋緊張は軽度増加。抵抗感が強くなっている範囲はその関節が動く範囲の半分以下である。
ほとんどの範囲で筋緊張の増加がある。しかし関節の他動運動は簡単に行える。
抵抗感は著名に増加し、他動で関節運動をするのは大変なレベルである。
筋緊張が亢進しているため、他動で関節運動をするのは無理である。

※表は分かりやすいようデフォルメしてます。

さらに、伸張反射を誘発するよう、関節の他動運動を高速で行うこともします。

低緊張の方に、他動で素早い関節運動を行うには、練習が必要です。最初のうちは、検査者が怖がって、痙縮の特徴を把握できません。

スムースに素早く操作できるよう、何回も練習を積んで下さい。

<スポンサーリンク>

筋緊張検査で判ること

筋緊張検査は、亢進の有無を調べるだけではありません。患者さんの筋からは、様々な状態を知ることができます。

抵抗の種類

まずは、以下の2つの特徴を掴みましょう!

痙縮について

例えば、上腕二頭筋に痙縮があれば、伸展運動を開始した直後は、強い抵抗を感じるものの、一定の区間を超えると、スッ!と軽くなることがあります。

また痙縮は、速度に依存していますので、一見、痙縮がなさそうな場合でも、素早い操作により、引っ掛かる感じが出現することがあります。

どのような抵抗を感じたのか、その種類を説明できるようにしておきましょう。

固縮について

被動性検査において、屈筋群と伸展筋群など、拮抗する筋に、持続した抵抗感がある場合は、鉛管様(えんかんよう)固縮となります。

もしも、抵抗感が断続的で、カクカクっとしているのであれば、歯車様(はぐるまよう)固縮です。

固縮については、こちらをご覧ください。

パーキンソン病関連疾患の一部や、多系統萎縮症では、痙縮と固縮が混ざった、痙固縮(けいこしゅく)というものがあります。

被動性検査では、どちらの要素も感じ取れるかと思いますので、頭の片隅にでも記憶しておいて下さい。

抵抗感の強さ

これはMMTの最大抵抗と同様、ベテランセラピストが感じる抵抗感と、実習生が感じる抵抗感では、差が出てしまうでしょう。

こればっかりは、クラスメイトや家族などを触らせてもらい、様々な方の正常な抵抗感を、習得するしかありません。

重要なのは、自分自身の中で基準を作り、時間や日によって、その基準が変化しないことが重要です。

慣れるまでは、先輩セラピストやスーパーバイザーと一緒に確認し、抵抗感の強さについて、経験を積んでいきましょう。

差を感じ取る

片側の上肢や下肢だけを検査し、あとは放置という訳ではありません。

筋緊張検査をしたのであれば、

 ・左右の抵抗感の差

 ・上肢と下肢の差

 ・屈筋群や伸展筋群の差

 ・近位部と遠位部の差

この辺りを感じとりましょう。

たとえ同じ疾患だとしても、どの場所に、どのような差が生じるかは、個人差が大きいです。

比べられるものは、しっかりと把握しておきましょう。

筋緊張検査の使いどころ

患者さんの筋緊張を把握する、一番のメリットは、治療や訓練の判定だと思います。

もしも、筋緊張を抑制させるため、ストレッチや温熱療法などを実施したのであれば、その前後で筋緊張検査をすることで、効果を体感できます。

さらに、

 ストレッチ後に筋緊張が抑制された

  → 筋の発揮が向上し動作が早くなった

となれば、筋緊張の亢進により、筋の発揮が邪魔されていた!と判断できます。

自転車でいうと、ブレーキを握りながら、一生懸命、ペダルを漕いでいるようなものですね。

筋緊張検査は、筋の状態を表現するためのものです。

筋緊張検査で亢進があった=問題点だ!と、短絡的な評価にならないようにしましょう!

おわりに

今まで、筋緊張検査で得られる情報が、亢進や低下などしかなかった方も、ボキャブラリーが増えたんじゃないでしょうか。

色々ある理学療法検査の中でも、特にセラピストの技術が問われる分野じゃないかと思います。

コツはとにかく慣れろ!です。興味を持って、抵抗感を感じまくって下さい!

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

<スポンサーリンク>