外乱刺激とは?理学療法士が評価すべきバランス能力について

2018年9月3日

バランスが悪いって思っても、何を評価したら良いのか解らないという、セラピストの皆様、こんにちは。

高齢者というだけで、バランスは低下します。さらに、疾患や障害を持てば、尚更でしょう。

もしも、問題点に「バランス能力低下」を挙げるのであれば、何をもって判断したのか、これくらいは明確にしておきたいものです。

そこで、今日は外乱刺激に対する、患者さんの応答について、解説していきたいと思います。

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バランスの評価方法

患者さんを観ていると、何となくバランスが悪そう…、って思うことがありますよね。

しかし、見た目だけの感想で、バランスを見極めるのは不可能です。

だから、バランスの検査を実施して、その方の能力を把握する必要があるのですね。

バランスの検査というと、

 ・立ち直り反応

 ・ステップ反応

 ・Time up and go test

 ・Functional reach test

 ・Berg balance scale

などが思い浮かぶと思います。

しかし、これらを実施し、ステップ反応が出ない、TUGのタイムが遅い、という情報だけで、

 バランス能力が低下している!

と判断してしまうのは、少し浅はか過ぎるような気がします。もう少し、理学療法士らしいバランス検査をしてみましょう!

外乱刺激とは

患者さんのバランスを評価するのに、手っ取り早いのが、バランスが崩された時の、反応を観察する方法です。

大抵の人は、突き飛ばされた時、足を前に出し、支持基底面を広げる、ステップ(ステッピング)反応が出現します。

このように、重心が移動する程の外力を与えることを、外乱刺激と呼びます。

しかし、いきなり突き飛ばされたら、誰だって不信感を抱きますので、この検査は、患者さんとの関係が、ある程度構築されてから行います。

それでは、外乱を使ったバランス反応の評価方法を、1つずつみていきましょう。

外乱に対する反応

外乱刺激は、ステップ反応だけを観るために行う訳ではありません。

当然、無言のまま突き飛ばせば、ステップ反応が出ると思います。しかし、事前に後ろへ押すよ!と言われれば、

きっと、このような反応が出るはずです。

外乱刺激を与える前に、既に準備ができるのか?これを評価しておきましょう。

それでは、実際に外乱刺激を与えた時、どのような反応がでるのか、これを知っておきましょう。

弱い外乱刺激の場合

押される力が弱いと、患者さんは、その場で耐えることを選択するはずです。

例えば、肩を後方へ押さたのであれば、重心が支持基底面から外れないよう、腹筋に力を入れて体幹を前屈させるでしょう。

この時「耐えるのが大変だな」と判断した場合、刺激を受けている肩甲骨を脱力させる方法に切り替えるでしょう。

外力を受けている肩を後方へ引き、力をいなすことで、重心をその場に留めるという反応です。

さらに腰椎を伸展させ、上肢や足関節の動きにより、後方へバランスが崩れるのを阻止します。

次に、骨盤レベルへの外乱刺激です。

先程とは違い、何とか重りを前方へ残すための、屈曲運動が主体となっています。

このように、弱い外乱刺激では、肩甲帯と骨盤の、どちらに外力を加えるかによって、反応は正反対になるのですね。

強い外乱刺激の場合

この場合、重心が支持基底面から外れる(外れそう)という認識から、すぐに足を出すという判断をするはずです。

足を出さなくては!という判断が遅いと、止まれないまま転倒することがあります。

これは、後方引き倒し検査と呼ばれるもので、パーキンソン病患者さん対し、実施する検査です。

※姿勢反射障害についてはこちら!

筋力、可動域、感覚なども大事ですが、認知や注意機能だって、バランスには必要不可欠な能力です。

だから外乱刺激の強さと、ステップを出すタイミングなど、相対的に観察していき、患者さんの、バランスに対する意識も評価しましょう。

さらに、前方、側方といった組み合わせをしていくと、バランスの検査は無限に増えていきますね…、う~ん、大変ですね。

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評価すべき項目

さて、外乱刺激に対する、反応の解説は終わりました。

次は、その反応が、実際に使えるものなのか?
これを判断していく番です。

能力と環境について

例えば、平行棒内で外乱刺激を与えた時、大抵の人はステップ反応よりも、平行棒に掴まり、手で支える方を選択するでしょう。

足を出すよりも、近くの物に掴まる方が、簡単だし、確実なので当然です。

しかし、握力が極端に弱い方であれば、足を出すことを選択するかもしれません。

バランスは反射ではなく、反応です。そのため、何をどの順番で出すのか、これは患者さんによって変わってきます。

その時、自分が1番信頼できる方法で、バランスを取るのが本能です。

もしも、よく転倒する場所が、リビングの広い場所なのに、足よりも先に手が出るタイプの患者さんであれば、完全にミスマッチしています。

この場合、ステップ反応を強化する方が良いのか、手摺りを設置するなど環境面を変える方が良いのか、実用性を評価していきましょう。

バランスを崩さない行動

バランスの検査は、何もバランスを崩したあとの、リカバリー能力だけがターゲットではありません。

外乱を与えようとする、セラピストの手を払いのけるのも、立派なバランス能力です。

さらに「押すな!」と、威嚇して、自分の身体に触れさせないこともできます。

要するに、自分が苦手とする環境を、作らない、近づかない、このような行動や判断ができることが、バランスを保つために必要なのですね。

このような部分も、ぜひ評価して下さいね。

おわりに

バランスに関与しない機能なんてないし、バランスの検査項目も多岐に渡っています。

私も、学生時代はバランスに関して、全く理解できていませんでした。きっと多くの患者さんから学びながら、少しずつ理解を深めていけたのだと思います。

まずは、患者さんの反応から、多くの仮説を立て、それを小まめに検証していきましょう。

バランスに正解はありません。

その方に合ったリハビリ訓練、環境作りの一助となれるよう、興味を持って接して頂ければと思います。

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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