できるADLからしているADLへ!2つの差を埋める評価方法

2018年8月27日

ADL評価は、バーセルインデックスと、FIMに頼りっぱなしだ!という皆様、こんばんは。

日々の評価で、筋力や可動域など、機能面ばかりに着目していませんか?

もちろん、これらも重要です。

だけども、患者さんの満足度、即ちQOLを爆上げするためには、やはりADLに重きを置くべきだと思います。

そこで今日は、ADLの評価と、患者さんの能力について、語ってみたいと思います。

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ADLについて

ADLとは、Activities of Daily Livingの頭文字を取った略で、日常生活活動のことになります。

朝起きて、布団から出てから、夜の就寝まで行う動作、これらが全て対象となります。

実は、ADLには以下の2つがあります。

 「できるADL」  「しているADL」

皆さん、既にご存知かと思いますが、1つずつ解説していきますね。

できるADLとは

これは起居動作、歩行などのADL動作を、

 やろうと思えば、

 必死になれば、

 その気になれば、

 死ぬ気でやれば、

できる場合に、適応となる言葉です。

普段やっていようが、いまいが関係ありません。

よって「できるADL」とは、その動作を様々な環境で行わせた時、対象となる患者さんの、最大能力を見極めるというものになります。

できるADLの評価

できるADL=バーセルインデックスで評価

こんな風潮があります。

確かに、急性期などで、簡便に数値化するのには適しています。しかし、用紙に沿って患者さんを採点しただけで、できるADLを評価した気になるのは勘違いです。

できるADLでは、先ほども書いた通り、最大の能力を評価します。

そのため、

セラピスト
ベッドに移乗してみて下さい
患者さん
怖いので、できません

このような場合、バーセルインデックスで、0点にしては意味がありません。

より細かい評価を進めていきましょう。

【移乗における採点】
 15点:自 立
 10点:軽い部分介助~監視
  5点:ほぼ全介助
  0点:全介助

車イスのブレーキ、フットレストの操作ができるのか、方向転換ができるのか、一体、何ならできるのか?

これらを、採点していきます。

セラピスト
車イスから立ち上がってみましょう
患者さん
ちょっとできそうもないなぁ
セラピスト
では、ここを(アームレスト)を両手で抑えて、お尻を浮かせてみましょう。
患者さん
この位なら、できるなぁ…
セラピスト
次は、私が支えているので、先程よりも10cm高く浮かせてみましょう!

このような感じで、やりやすい方法を指導したり、練習を2~3回させてみたり、簡単なものから行わせて、自信を付けさせたりしていきます。

どうやったら「できる」のか、その方法を一緒に考えていきましょう。

もう、何をどうやったってできないのであれば、きっとそれが、その患者さんにとっての最大能力なのでしょう。

しているADLとは

これは、普段行っているADL動作の、環境や条件に大きく関係してきます。

買い物に行く動作といっても、普段から歩いて行く人と、自転車で行く人では、全く違います。

また、個人差の大きい必要度も、重要な因子となります。

毎日、お化粧をバッチリする人と、眉毛を書く程度の人では、整容動作に求められるレベルが変わります。

よって「しているADL」とは、普段から定着した動作を、環境に合わせて能力を発揮しているのか?

これを評価することになります。

しているADLの評価

しているADL=FIMで評価する

先程と同様、このような流れがあります。

この評価は、最大能力を知ることよりも、その方の自立度、介助や介護の必要度を知ることが、評価の対象となります。

例えば整容動作で、普段から電動歯ブラシを使用し、歯磨き動作が自立しているのであれば、誰の介助も必要としないので、問題はなし!と判断できます。

普通の歯ブラシでは、何らかの不都合があり、仕方なく使用している場合だとしても、本人やその家族が納得しているケースもあります。

その場合、FIMでは修正自立(6点)となりますので、しているADLとして、これ以上掘り下げていくのは、あまり意味が無いということです。

電動歯ブラシから、普通の歯ブラシを目指すのか、その必要度や、生活を送る上での重要度を総括した上で、判断していきましょう。

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二つに差が生じる原因

リハビリ室では、一生懸命、階段を昇ったり、歩いたりしているのに、病棟や自宅では、介助や介護に依存してしまう場合があります。

このように「できるADL」と「しているADL」の差が大きいと、活動量や活動範囲に変化がみられないなどのデメリットが生じてきます。

そこで、この二つに差が生じる原因について、3つの要因に分けて考えてみましょう。

物的環境要因

まずは、物的環境の違いです。

ありがちなのは、リハビリ室で固めのベッドで起居動作を練習しており、柔らかいベッドやソファから起き上がれない、立ち上がれないなどの現象が起こることです。

【その他の物的環境要因】
 ・床が滑りやすい素材

 ・動線が確保されていない

 ・補装具を使い慣れていない

 ・段差があって大変  etc…

これは、患者家族や病棟スタッフとの連携不足が原因で起こります。

ベッドの高さや素材、手摺りの有無など、物的環境の情報をできるだけ多く収集し、より近い環境で訓練していくべきでしょう。

心理的要因

次は、気持ちの問題が考えられます。

リハ室では、セラピストに乗せられて頑張れるけど、1人になると甘えが出てしまい、自分では何もしなくなる患者さんを経験します。

【その他の心理的要因】
・介助される方が安心できる

・恐怖心が先行してしまう

・リハビリだけで十分だろう

・慣れていないので不安  etc…

リハビリ意欲が高いだけでは、しているADLにはつながりません。

もしかしたら、過去の転倒の経験などから、1人で行動することに消極的になっているのかもしれません。

どうしたら自発的な行動が増えるのか、もう少し患者さんとその家族と、コミュニケーションを取ってみましょう。

人的環境要因

最後は、患者さん以外のことになります。

例えば、上手なセラピストであれば、50mの介助歩行が可能でも、小柄な奥さんであれば、まったく歩かせることができない、といった技術や体格の差が関係することがあります。

また老々介護など、マンパワーの不足により、対象者のしているADLが低下している場合も考えられます。

【その他の人的環境要因】
・やってもらえるので動く必要なし

・頼むと悪いから、じっとしている

・転ばないよう家族が活動を制限させる

・介助がヘタなのでやりたくない  etc…

1人で移乗できること、1人でトイレに行けること、とても大事ですが、家族が全く望んでいないこともあります。

また。家族の不安が強い場合、活動させないよう、あえて座りっぱなし、寝かせっぱなしの状態にしている場合も考えられます。

もしかしたら、家族の過介助が原因で、依存度が高まっているのかもしれません。その辺りもチェックしてみて下さい。

おわりに

さて、ADLの評価について、色々と解説させて頂きました。

う~ん、個人的な意見ですが、どうもバーセルインデックスや、FIMで採点しただけで、満足している人が多いような気がします。

また問題点を、しているADLの低下、活動範囲の狭小化、などといった感じで、何も解決に結びつかないものを挙げる人を見かけます。

ADLに関しては、どうしたら、

「できるようになるのか」 

「してくれるようになるのか」

この2点を考えて下さい。

そして「できるADL」から「しているADL」につなげるための評価を、試行錯誤しながら進めて頂ければと思います。

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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