重症筋無力症の過去問題を分析!国家試験対策はこれを覚えよう
毎日の国家試験勉強で、疲れ切ってしまったという学生の皆様、お疲れ様です。
今回、テーマとなる疾患は、
重症筋無力症
myasthenia gravis:MG
という病気です。
PTの国家試験では、6年連続で問題に絡んでいます。全て1点問題ですが、出題傾向は同じですので、確実に取りたいですね。
皆さんの記憶媒体に、負担が掛からないよう、簡単に解説していきたいと思います。
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重症筋無力症について
重症筋無力症は、神経筋接合部が障害される疾患です。
末梢神経で伝わった情報は、神経終末でアセチルコリンによって、骨格筋に伝達されます。
しかし、アセチルコリンを受け取る受容体が、自己抗体により攻撃されてしまうため、上手に受け取れないのです。
「抗アセチルコリン受容体抗体」の産生が原因となる、自己免疫疾患ということになります。
重症筋無力症の症状
臨床でも関わる機会が少ないので、まずは、この病気の症状を確認しましょう。
眼症状
臨床症状で多いのが、眼瞼下垂や複視などになります。眼輪筋が弱いので、兎眼(とがん)も出現します。
よって、眼に出る症状は、
完全に開かない & 完全に閉じない
と覚えておきましょう。
眼瞼下垂、複視、兎眼
筋力低下
筋が痩せ細ってパワーが出ないのではなく、筋を収縮させるための、指令が届かないことが原因になります。
四肢の近位筋優位に、筋の出力が落ちるため、頭を支える首の筋も弱くなります。
よって、首が下がってしまい、図のような姿勢を取ります。
一生懸命、動かそうとするため、疲労しやすくなります。易疲労性も、合わせて覚えましょう。
首下がり 四肢近位部優位
球麻痺症状
重症筋無力症では、構音障害が出現します。舌が上手く動かず、呂律が回らなくなります。
また、咀嚼筋の筋力低下と合わせて、嚥下にも障害が起こります。過去問にも出題されていますので、この場で覚えて下さいね。
呼吸症状
この病気で起こる呼吸障害は、呼吸筋の疲労による拘束性換気障害になります。
もはや定番となりつつあります、
〇 拘束性換気障害 × 閉塞性換気障害
この2つで迷わないよう、しっかりと線引きをしておきましょう。
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国家試験の出題ポイント
それでは、過去問をベースに出題傾向をまとめたものを、解説していきます。
日内変動について
この病気は、朝や午前中は比較的調子が良いのですが、1日の疲れが溜まる、夕方以降に症状が強くなります。
また、20~50歳の女性が多いので、
こんな感じでイメージを付けて下さい。
テンシロンテスト
この病気は、神経筋接合部で、骨格筋がアセチルコリンを受け取れないのが原因でしたね。
受容体に結合しなかったアセチルコリンは、ずっと浮遊している訳ではなく、コリンエステラーゼという分解酵素によって処理されます。
あれ? この酵素を抑えればいんじゃね?
ということで、コリンエステラーゼの働きを阻害する薬を、患者さんに投与して様子をみるのが、テンシロンテストになります。
投与後、一時的に眼瞼下垂や、構音障害が改善するのであれば、重症筋無力症の疑いあり!という流れで、診断に用いられるテストです。
合併症について
この病気は、胸腺腫を合併する方が多いので、胸腺異常が関与していると考えられています。
よって、外科的に胸腺を除去することで、症状が改善することがあるそうです。
胸腺腫 胸腺異常 胸腺摘出
クリーゼについて
この現象は、第53回に出題されました。
一応、説明しておきますと、著しいストレスや疲労、感染などがきっかけとなり、筋力低下や呼吸状態が急激に悪化する現象です。
この病気の最大のリスクになりますので、患者さんのオーバーワークには、注意が必要です!
リハビリの注意点
過去の出題では、病理学的な問題が多く、リハビリに関する問題は少ないです。よって、要点だけ軽く覚えておきましょう。
・症状が軽い午前中に行う
・表情筋や眼球運動を促す
・球症状に対する介入をする
・頚部や四肢に対する軽度の筋力訓練
・呼吸筋の低下に対するアプローチ
・クリーゼを引き起こさないよう!
神経筋疾患のリハビリでは、過負荷な運動、積極的な訓練はしないという、共通点がありますね。
おわりに
う~ん、サクっと簡単にするつもりが、結構ボリュームが…、すみません。
しかし、重症筋無力症の過去問題は、本当に同じような問題ばかりです。
模試や過去問を解いているうちに、胸腺異常、日内変動、テンシロンテストなど、キーワードが頭に残ると思います。今日の記事が、その土台となれば幸いです。
それでは、皆さんの平均点が1点でもUPしますように。
今日はこの辺りで、アドュー!
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