リハビリ プログラムの立案!その患者さんに適したレシピを作る

2018年9月3日

臨床も料理も得意だという、マルチな才能をお持ちの皆様、こんにちは。

せっかく治療プログラムを立てたのに、その内容について突っ込まれた経験はありませんか?

 なぜその方法なの?

 なぜその回数なの?

このように質問された時「なんとなく…」という部分が入っていませんか?

しっかりとした手順でプログラムを立てたのであれば、運動の頻度や強度など、細かく説明できるはずです。

そこで今日は、根拠がある、リハビリプログラムを立案する手順について、説明していきたいと思います。

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治療プログラムの内容

例えば、MMTが4未満で、筋力低下のある患者さんがいたとします。

そこで、

 筋力低下の改善目的で筋トレをする!

と、リハビリの目標を立てました。

う~ん、それはいいのですが…。

では、どのような筋トレが良いのでしょうか?

まず負荷ですが、徒手の抵抗運動、重錘や鉄アレイ、セラバンドなど、複数あります。

どれで負荷を掛けますか?

答えを考え、何とか絞りだしたとしても、

 回数はどうする?

 セット数は?

 負荷は固定なの?

 それとも漸増するの?

このように、無限に質問が増えてきちゃいますので、安易に治療プログラムを立てるのは、とても危険だといえます。

こうならないために、治療プログラムの内容は、目の前の患者さんから得られた、事実に基づいた内容にしていくべきだと思います。

それでは、その内容について説明します。

治療プログラムの立案

評価結果を確認

治療プログラムの種(たね)は、自分自身が実施した評価結果の中にあります。

そこには、筋力低下や可動域の低下、バランス能力など、客観的な数値が示されています。

ここで重要なのは、自分の考えを入れず、ただ事務的に確認します。

この時点では、数値や結果以外に、興味を示さないで下さい。

自分の考えが必要になるのは、もっともっと先の話なので、しばらく予測や印象は、無視するようにお願いします。

統合と解釈を確認

ここでは、先ほどの数値や、その他の情報を使った検証をしていきます。

手順としては、現象、仮説、検証を実施していくことになります。

それでは悪い例からみてみましょう。

<現 象>
・下肢のMMTが3~4
・立ち上がりで離殿ができない

<仮 説>
・下肢の筋力低下で立ち上がれない

<検 証>
・とりあえず筋力訓練をやってみる
(症状が改善しないと何もいえない…)

これでは、検証結果がないので、根拠を示すことができません。先ほどのように、質問攻めで終わってしまいます。

もしかしたら、筋力Upしても、立ち上がり動作は変化しないかもしれませんね。

では正しい例を挙げてみます。

<現 象>
・下肢のMMTが3~4
・立ち上がりで離殿ができない
・前方に置いた台に手を乗せると立てる
・台に手を乗せると姿勢が変化する
・その手には力が殆ど入っていない

<仮 説>
・手で簡単にカバーできている
  ⇒ 下肢の筋力の影響は少ない?

・立ち上がる前の準備が重要
  ⇒ 力が入りにくいのかも?

・ポジションによって能力が変化する
  ⇒ 筋力よりもやる気の問題?

さっきよりも仮説が増えてきました。

そこで、どうやったら台が無くても立てるのか?これを検証していきます。

<検証>
・台に置く手の力を徐々に抜かせる
・台を取り除くが、同じように立たせる
・手を前に伸ばしながらだと立てそうだ

できない原因よりも、どうやったらできそう?

といった観点で進められていますね。

これにより、できるようになるための、糸口が少しだけ見えてきました。

その後、評価を進めたところ、以下の手順で訓練すると変化があったようです。

 ① 座位での前方リーチ練習 ×10回

 ② そのポジションで 3秒キープ×5set

   休憩を入れて

 ③ リーチ動作~離殿までの訓練 ×10回

 ④ 台に軽く手を置いて立ち上がり ×3回

 ⑤ 台を使用せずに立ち上がり ×3回

   この手順であれば成功率がUp!

ここまでやって、ようやく評価が終了!

試行錯誤を重ねながら、実際にやってきたこの手順が、最良のプログラムだという証明になります。

この時点で治療方針としては、

この訓練をやると、1人での立ち上がりが、即時的にできるようになる!しかし、今は誘導や練習が必要なため、まずはこのプログラムで進め、ゴール達成を目指す!

このようなものになるでしょう。

10回じゃなくて、11回の方がいいかもしれない。5セットは多すぎるかもしれない。しかし、このプログラムであれば、最低限、目に見える効果が得られることは間違いないのです。

このような検証作業があれば、周囲の人は否定することはできません。

もしもアドバイスではなく、この手順で立案したプログラムを否定してくる人がいれば、

「じゃぁ、お前がやってみろ!」

と、私なら言うでしょう。

そこで、より良い結果を出せる人であるのなら、私はその人の言うことを何でも聞くでしょう。

しかし、口は出すけど手は出さない!こんな人の言うことは、絶対に聞かないようにしています。

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ゴールの内容を確認

例えば、先程の立ち上がりですが、

「1人で立てるようになる」

というゴール設定であるのであれば、

リーチ動作の10回を5回に減らす、または自主訓練で済ませる、といったように、プログラムが前向きに変化していくでしょう。

最初は5セットやらないと、効果が出てこなかったが、今では3セットで十分効果が出せる!となれば、患者さんの成長も把握できます。

ゴールの達成条件は、大まかなものが多いですので、その中で、どのようなステップを踏んでいるのか、達成までどのくらいの位置にいるのか、これを常に確認するようにしましょう。

※具体的なゴールの立て方はこちら!

患者さんの治療レシピ

患者さんに合ったプログラムを考えること、これは料理と共通していると思います。

現在は、ネットで少し調べれば、料理のレシピが山ほど紹介されています。

レシピ通りに料理を作ることは、さほど難しいことではないのですが、時には味付けを変えたり、食材を代用したりといった工夫もするでしょう。

例えば料理を作っている際、塩をひとつまみ足したとします。

その後、味見をしたけど変化がよく判らなかった場合、余計な塩分を取るデメリットしかありません。

その場合、最初の塩の量で良い!という考察になります。

しかし、そのひとつまみの塩で、おいしくなったのであれば、レシピの塩加減よりも増やす判断をするでしょう。

もし、しょっぱくて不味くなったのであれば、今後は足さないようにすれば良いのです。

教科書に書いてあるリハプログラムを、患者さんの評価をせずに当てはめる人がいます。

患者さんが良くなれば、それは結果的にラッキーで済みますが、反対に良くならなければ、もうどうしたら良いのか判断できなくなります。

このような、へなちょこPTにならないためにも、患者さんに変化を与え、それを感じ取る、

「評価する力」

を養っていけるよう、日頃から訓練してみて下さい。

おわりに

評価と治療プログラムが結びついてくれば、もうスーパーバイザーも、先輩セラピストも怖くありません。

他人が考えたレシピ通りに作れる人が、良い料理人という訳ではありません。

その人の好みの味付けにするために、その人のことを評価でもっと知りましょう。

そして、最適な治療プログラムでおもてなしができるよう、頑張って頂きたいと思います。

 リハビリも料理も愛情!

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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