姿勢観察から姿勢分析へ!リハビリで使える評価の進め方

2018年9月1日

患者さんに姿勢改善を促しながらも、実は自分もそこそこ猫背だという皆様こんばんは。

今回は、動作分析の前段階ともいえる姿勢についてのお話です。

皆さんは、患者さんの姿勢を観察し、分析する際に、何のための評価なのか、明確に答えられますか?

姿勢の何を評価したら良いのか判らないので、とりあえず、関節やアライメントを、羅列するだけの評価になっていませんか?

もしも、この辺りが曖昧なのであれば、これを機に姿勢観察と分析の、土台作りをして頂きたいと思います。

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姿勢の評価は観察から

姿勢の評価は前から、横からジロジロと眺めるだけは終わりません。

姿勢観察、分析の進め方が解らないという方!

日頃から患者さんを立たせたまま、ずっと観ては書いて、観ては書いての繰り返しをしていませんか?

ただ立っているだけの姿勢をスケッチしただけでは評価と呼べません。

姿勢のアライメントを知ることは重要ですが、ただ配列を確認するだけの行動に意味はありませんよ。

なぜなら配列はすぐに変化してしまうし、その方にとっての良い配列というのは誰にも判断できないからです。

そこで姿勢分析の役割は、

どのように配列を変化させられるのか

を知るために存在するといえます。

そのための評価ポイントは以下の3つです!

・環境に適した姿勢を判断できるか

・その姿勢を取ることができるか

・その姿勢を保持することができるか

よって姿勢の評価は動作分析と同じく、患者さんへの指示を変えたり、様々な条件を与えてその違いを観ていくものになります。

それでは評価を進めて行く手順を、1つずつ説明していきたいと思います。

正常な姿勢とは

評価をする上で正常を知ることは重要です。

何回でも書くつもりですが「正常動作」とは、いかなる環境、条件においても動作が遂行できることを指します。

この場所だとできない、このパターンでは介助が必要だ!といった場合は正常動作とは呼べなくなってしまいます。

姿勢を評価する場合も同様であり、様々な環境や条件下でも臥位、座位、立位が保持できる場合にのみ「正常な姿勢」となります。

・前方荷重でも立っていられる

・骨盤後傾位でも座位保持が可能

・枕が無くても背臥位が取れる

このように、環境や条件に合わせた姿勢を選択できた時に、初めて正常な姿勢だと判断できることになります。

よって、

「立位姿勢を評価するので立っていて下さい」

この条件だと、立っていられた人全員が「正常な立位姿勢」という評価結果になります。

立っていて欲しい 立っていました

文句のつけようがない正常な姿勢と呼べます。

これから姿勢を評価しようと思った時、患者さんにどのように立っていて欲しいですか?

知りたいことが知れるように、患者さんに条件をしっかりと伝え、必要な環境を設定しなければ、姿勢の評価は始まりませんよ!

姿勢観察のルール

観察といっても実際には、徒手で患者さんのポジションを修正していきます。

評価で最も重要なのは「再現性」になります。

学校でも実習でも職場でも、再現性のある評価をしなさいと指導されたはずです。

そのままの姿勢に再現性は何もありません。

だって5秒後には違う姿勢になっているかもしれないのに、後日再評価できるワケがありませんよね。

 歩隔は肩幅にセットした

 骨盤は前後傾中間位にした

 上肢は体側に下垂位とした

観察した時の条件をきっちりメモをしておきましょう!

しっかし、未だにベッド寝ているそのままの姿を評価しろ!とか、来室時の車椅子の姿勢を観察しろ!とか無茶苦茶なことをいうセラピストがいるようです…。

挙句の果てに、なぜ頸部が傾いているのか、なぜ肩甲帯の高さが違うのか分析しろ!と言うらしいのですが

「んじゃ、お前やってみろ!」

と言いたくなります。その後「そんで、再現性はどこにあるの?」と言われても絶対に答えることが出来ないのに…。

※実習生は心の中で言いましょう

立位姿勢観察について

それでは実際に観察に入りますが、まずは立位姿勢で考えてみましょう。

運動学で習った理想的なアライメント、矢状面であれば、外果の前方を通る床からの垂線上に、膝蓋骨後面、大転子、肩峰、外耳孔の全てが位置するといった姿勢があります。

これは無駄な筋活動が不要で、最もエネルギー効率が良い姿勢とされております。

しかし、完全静止が出来ない人間にとって、この姿勢を保持し続けることは、かえってエネルギー消費が激しくなります。あくまで瞬間的な指標だとお心得下さい。

ではまずは各ランドマークを矢状面上で一致させるよう徒手でポジショニングを行ってみます。

一般の健常者であれば、難なくアライメントを整えることが出来ると思います。

その際、腹筋や背筋など、脊柱の前についている筋と後ろについている筋に無駄な活動がないかを確認します。

しかし脊柱の変形により胸椎の後弯が強い方がいれば、外耳孔と外果の位置を一致させるために、骨盤は後傾し股関節は伸展位を取ります。

さらに膝や大転子は前方、肩峰は後方調整する必要があります。

そうすると、後ろに倒れないように股関節屈筋群や腹筋群の活動が高まり、努力しなければ保持出来ない「異常な姿勢」となります。

よってランドマークの一致と各関節、各筋の活動を総括的に観ることが姿勢観察となります。

もう一度繰り返しますが「観察」だからといって、近くで眺めて想像するのではなく、バンバン触っていきます!

そして同じような方法で、前額面、水平面と3次元で姿勢を捉えられれば観察は終了となります。

注意して欲しいのは、この姿勢が難なく保持出来るからといって「正常な姿勢」という訳ではなく、運動学的に最もエネルギー効率が良いとされる姿勢を取ることが出来るという一点だけですので気を付けて下さい。

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姿勢観察から分析へ

冒頭でお伝えした通り「正常な姿勢」が取れるのか、取れないのかを観察し、なぜ保持出来ないのか、なぜ前方に荷重が偏っているのかなどを検証することが、姿勢分析となります。

例えば体幹と股関節が屈曲位をとり、前方荷重優位の方がいたとします。

徒手でセッティングして荷重の位置を調整するも、手を離すとまた同じように前傾姿勢となってしまうケースを想像して下さい。

この場合、徒手で1度セッティングできるので、可動域制限や痛みなどは関係ないことが既に判っています

もしその後の評価で、

・さらに身体を起こすと恐怖心を訴える

・壁が後ろにあると前傾姿勢が改善する

・後方へのバランス障害があった

この時点での仮説は、後方への転倒を恐れて、前傾姿勢という防御的な反応がでていることが考えられます。

要するに我々も立位を取った際に、背面が断崖絶壁だったら無意識に前方荷重優位になりますよね、それが起こっているのではないか?という考えのもと検証を進めます。

例えば、バランス訓練後に即時的に前傾姿勢が改善したとします。

その場合の考察は以下となります。

① 以下の訓練を行った

 ・股関節のストラテジー

 ・足関節のストラテジー

② 前後方向への荷重移動がが上手になった

③ 恐怖心が薄れたことで、
 偏移していた荷重の位置が中心に戻った

この効果により姿勢が改善した!という検証結果になります。

このようなケースでは姿勢から、後方へのバランス障害という問題を繋げて評価したことで、姿勢改善に向けた治療方針が決定することができました。

このような繋がりが観察から分析までの流れになります。そして実際にこのような事例は臨床で多く見かけますので、頭の片隅にでも置いておいて下さい

座位姿勢と臥位姿勢

座位では座面を支持する場所が座骨結節に変化します。

また立位姿勢と比較して、下肢の影響が無くなるため、下肢の筋力低下や脚長差などを除外することができます。

当然、重心が低くなること、支持基底面が広くなることで、課題の難易度は下がり、恐怖心なども変わってくるのでその辺りも判断材料として役立ててみましょう。

先ほどの前方荷重優位の姿勢が、座位でも継続するのであれば、それは恐怖心ではなく、また下肢の影響でもないことが解ります。

臥位では1番の違いは「重力」です。

抗重力位では出来ないが、徐重力位では出来る。ということは当然筋力などが関係してきますね。

また立位では腰が曲がっているが、背臥位では伸びるとなれば、可動域に問題がなく、また変形でもないことが解ります。

重力に抗せないどこかの筋力が問題なのか、または重心が高くなることでの恐怖心なのか、ターゲットを狭めることが可能になってきます。

いずれにしても、その他の姿勢と比較していくことで、対象者から情報を得ていくことで、姿勢観察による分析が可能になってきます。

おわりに

最後になりますが、姿勢観察では股関節外旋位、頸部屈曲軽度右側屈位とか並べるだけの記載が目立ちます。

その情報、本当に要ります?

それを聞いて、何かの役に立ちそうですか?

そのような情報よりも、身体が後ろに傾くと無意識に腹筋が活動して制御出来る!といった情報の方が有益だと思います。

姿勢を静的ではなく、もっと動的に考えられると、きっと楽しくなりますよ!

今回のお話で、姿勢から分かることが1つでも具体的、立体的に掴めて頂ければ幸いです。

そして、評価の段階で自分の頭に「?」が付かないために、この観察で分かること、この現象を分析するために必要な検査や方法は何か!を意識して、「結果同士が繋がる」成功体験を重ねて頂ければと思います。

それでは、皆さんの猫背が治りますように。

今日はこの辺りで、アドュー!

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