PTの国家試験に向けた勉強!多発性硬化症ってどんな病気?
PT・OTを目指し、国家試験勉強、真っ只中だという学生の皆様、こんばんは。
本日は、国家試験に向けて、
多発性硬化症
Multiple Sclerosis:MS
という病気について、解説したいと思います。
国家試験での出題率は少ないですが、過去に出ている問題は、どれも似たものが多いです。
そのため、要点だけ押さえておけば、簡単に解ける問題ばかりですので、これを機会に、ぜひチェックしておきましょう。
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多発性硬化症について
多発性硬化症は、原因不明の免疫異常により、中枢神経の髄鞘が破壊(脱髄)される病気です。
髄鞘は、電気コードでいう外側のビニールにあたります。この部分が破けて、銅線がむき出しになると、途中で放電してしまい、信号が届かなくなります。
髄鞘は跳躍伝道の要ですので、ここが遮断されると、様々な中枢神経症状が現れます。
また、髄鞘が破れるだけではなく、その中の銅線にあたる、軸索が損傷すると重症化し、予後不良となります。
多発する症状
多発性硬化症の「多発」には、様々な症状が出現する!という意味が込められています。
<初期にみられる症状>
・複視などの視力障害
・中枢神経病変による感覚障害
・筋緊張の異常(痙縮 or 弛緩)
・麻痺や脱力などによる歩行障害
・抑うつや無関心などの精神症状
<経過中にみられる症状>
・小脳病変による失調の出現
・膀胱直腸障害による排尿・排便困難
いや~、多発だけあって、症状が多いですね。覚えるのが大変だ…。
症状が多発する
ん、同じ意味じゃね?と思うかもしれませんが、こちらは、良くなったり、悪くなったりを繰り返すという意味です。
関節リウマチのように、再発と寛解を繰り返すという特徴があります。
軽い症状で、何年も経過する人もいれば、症状が進行してしまう場合もあります。
このように、多発性硬化症には、2つの意味が込められているのですね。
国家試験の出題ポイント
MS特有の症状
まずは、この病気でしか出ない、特有の症状について解説します。
Uhthoff(ウートフ)現象
体温の上昇=症状の悪化 です。
入浴や運動で体温が上昇すると、自己免疫の活性化により、あっという間に症状が悪化します。
よって、温熱療法は全般的に×になりますので、注意して下さい!
温度の目安は、平熱を下回る30度の前半です。これ以上の温度は、ウートフ現象出現のリスクになります。
Lhermitte(レルミッテ)徴候
53回の国家試験に出題されていますね。
頚部を前屈させると、背部から下肢に掛けて、下行する電撃痛が出現する徴候です。
治療というよりも、頸部の前屈を避けることが重要なため、もし、首を過度に動かすような選択肢があれば、×をつけましょう!
有痛性強直性痙攣
急に、手足に麻痺や疼痛が生じ、その後数分間、強直性の痙攣が起こります。
この症状は、脊髄の病巣が、悪さをしていると考えられています。
シャルコーの3徴候
企図振戦、断綴性(だんてつせい)言語、眼振の3つで、これらは、小脳と脳幹部の脱髄を示唆する症状になります。
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リハビリの介入について
運動療法の注意点
ALSと同様、高負荷、過負荷、漸増などのキーワードに注意しましょう。
ウートフ現象があるので、疲労や体温を上昇させるような運動療法は、全て×と考えましょう。
物理療法にも注意
寒冷療法は、全て大歓迎なんですが、ホットパック、マイクロ波など、温熱を利用する物理療法は、全て×とします。
また、過去問では、温水プールなども×となっているので、「熱」や「温」という字が出た場合、疑っていきましょう。
装具療法は軽めに
こちらもALSと同様の考えで、金属支柱付きの重たい装具は×ですが、軽量プラスチックの装具はOKとなります。
しかし、せっかく軽い下肢装具をつけたとしても、積極的な歩行訓練!と書いてあれば、運動負荷の面で×になるので、騙されないように!
環境整備を優先
MSでは、複視や視野狭窄などの視力障害が出現しやすいので、照明やテレビの位置など、生活環境の整備を優先して考えましょう。
こちらは、患者さんが疲れたり、体温が上ったりしないので、優先的に考えてOKだと思います。
失調症状も出現
失調症状に関する国家試験対策は、こちらの記事を参照して下さい。
SCDとの違いは、視力障害がある!ことです。
よって、視覚代償を使用する、フレンケル体操は、失調に有効だとしても、MSでは適応にならないので注意しましょう!
その他の出題ポイント
MSに関して、問題に出やすいポイントのおさらいになります。
・女性の罹患率は男性の2~3倍多い
・視力や視野の障害が出やすい
・増悪と寛解を繰り返す
・体温や疲労に十分注意する
・軸索が損傷すると予後不良
ちょっと多いかもしれませんが、過去問題を解きながら、徐々に身に着けていきましょう!
※イメージ図
おわりに
MSは、中枢神経の脱髄が主ですので、錐体路徴候などがしっかり頭に入っていれば、それほど難しくはありません。
また、ALSとSCDの国家試験対策をすれば、MSでも点数が取れるんじゃないかと思います。
慌てず、ゆっくりと確実に、知識を積み重ねていきましょう!
それでは、皆さんの国家試験勉強のストレスが、少しでも寛解しますように。
今日はこの辺りで、アドュー!
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