整容動作の分析方法!~ADLを評価しよう~

2018年8月28日

夜の歯磨きは、お風呂の中で一緒に済ます!という、効率重視派の皆様、こんばんは。

本日は、ADL評価の第三弾!

 「整容動作」です。

一見、大して重要ではない、と思われがちな応用動作ですが、実は、口腔環境の改善により、誤嚥性肺炎を予防するなど、生命に関わる重要な部分もあります。

PTで触れる機会は、少ないかもしれませんが、動作分析の進め方の勉強になればと思います。

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整容動作とは

普段、聞きなれない言葉ですね。

辞書には、どう書かれているのでしょうか。

<三省堂 大辞林より>
姿・かたちを整えること。 

<実用日本語表現辞典より>
身なりを整えること。身だしなみ。髭を剃る、歯を磨く、顔を洗うといった事柄を主に指す。

前者は、姿勢を整えるという意味になっていますが、リハビリ場面では、後者の意味で捉えられることが多いですね。

よってここでも、他人に良い印象を与えるための、「身だしなみ」という意味で進めて行きたいと思います。

整容動作の評価と分析

バーセルインデックス(Barthel index)における整容動作は、全部1人で出来れば5点、だけど少しでも、1つでも介助点があれば0点!といった感じで、雑に扱われていると思うのは気のせいでしょうか?

確かに患者さんによっては、大変だ!面倒だ!といって、余り身だしなみに興味を示さない方もいます。

しかし、

 毎朝髪を洗いたい!

 髭は剃り残さずに処理したい!

 起きたらまず洗面をしたい!

と希望される方も多いはずです。

ボサボサの頭で、病衣のままリハビリ室に来て、運動をして帰る。これでは、日常的とは言えません。

人間らしい生活を送るための訓練も、リハビリに含まれているのですから、入院中も、リハビリが始まる時間に間に合うように、また、人前に出ても恥ずかしくないように、身だしなみを促したり、意識させることも我々の役目なのです。

それでは、もはや恒例となりました

「正常な整容動作」

について触れていきたいと思います。

整容動作における正常とは、

 どのような姿勢でも

 どのようなハブラシでも

 髭剃りなら電動でもT字型でも

様々な環境で、整容動作が必要に応じた時間内に、遂行出来ることを指します。

よって、座らないと洗面出来ない、電動ハブラシが必要だ!といったケースは、正常から逸脱していると判断できます。

しかし、人によっては、必要度に差があるので、それらを考慮する必要があります。

総入れ歯であれば、メンテナンスを含めた管理も、評価の対象になります。

また、全くお化粧をしない女性の方もいれば、スキンヘッドの男性もおりますので、そもそも生活に不要な動作は、あらかじめ対象外としましょう。

歯磨き動作の評価方法

歯磨きに関しては、我々だって歯科医から指導を受ける程、当てる角度や動かし方が難しいです。自分では、しっかり磨いているつもりでも、完璧に磨くのは不可能に近いそうです。

ここでは、虫歯にならない為の歯磨きではなく、一般的な「歯を磨く動作」として分析、評価を進めて行きたいと思います。

それでは患者さんから

「歯ブラシが使いづらい」

と相談を受けた時の評価方法を、例に挙げてみましょう。

評価をするといっても、患者さんを洗面所に連れて行き「いつも通り歯を磨いて下さい」と言って、眺めているだけでは評価は進みません。

とりあえず、

左右の歯と前歯、上の歯と下の歯、表側と裏側、どこを磨く時に「使いづらい」と感じるのかを1つずつ確認していくと良いかと思います。

仮に、全部だったとしたら、そもそも歯ブラシだけでは無く、箸だってボールペンだって使いづらいはずです。きっと、歯磨き動作だけの問題では無いでしょう。

しかし、左の上の歯で特に裏側が磨きづらいというのであれば、

 右手関節背屈位での操作が苦手なんじゃね?

という手掛かりが見つかります。

即座に患者さんの手を触らせて頂き、手関節を動かしてみて、可動域が関係しているのかいないのかを判断します。

ほんの数十秒あれば出来る作業ですね。

もしも、可動域が関係している印象があれば、ROM-tで角度を確認するも良し!

ROM-exやモビライゼーションをして、その後にもう一度同じ場所を磨いてもらい感想を聞くも良し!

とりあえず、一歩前進を目指して、アクティブに動作を分析していきましょう。

基本動作も応用動作も、基本的な進め方は一緒です。ひとつずつ解決して、判断をしながら進めて行く!これをコツコツやることで、きっと答えに辿りつくはずです。

色々と確認作業を続けていくと、きっと前腕を回内外する能力、肘関節や肩関節の能力、これらと手指の巧緻性との関係性がみえてくるはずです。

例えば持ち方を変えてみることで、ヒントが得られるかもしれません。

「あぁ、こうすると逆にダメなのね」

「おお!これって良さそうじゃね?」

といった感じで色々模索して頂きたいと思います。

その上で、ここを磨く時は

 左手に持ち替えましょう

 左手を添えましょう

 柄を短く持ちましょう

といったアドバイスと共に、実用性を目指した整容動作の訓練に進み、かつ分析した動作が可能になるような、ペグの反転やアクリルコーンとかの機能訓練を積み、動作パターンのバリエーションを増やしていけば良いかと思います。

もちろん、疾患の特性から、改善が難しい場合には、電動歯ブラシや歯間ブラシなども必要になってくるかと思います。

きっと、歯ブラシの柄に滑り止め加工をするだけで、解決するケースもあるでしょう。

ぜひ、患者さんの意欲に合わせて、機能UP、実用性UPを図っていける、応用動作分析をマスターして頂きたいと思います。

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その他の整容動作

それでは、他の動作のポイントを簡単に、説明していきたいと思います。動作分析の進め方は先ほどスポットを当てた歯磨き動作と同じです。

入浴動作

浴槽に入るための「またぎ動作」は、なにも、走り幅跳びのハサミ跳びのように、側面から跨ぐ必要はありません。

正面からまたいで、中で180°反転して、残った足を挙げる方法もあります。

また、残った方の下肢に、どの程度荷重したら良いのか、また、上肢をどこに置いた方が、安定して跨ぎ動作が可能なのか、を全通り試してみましょう。

洗体に関しては別に、背中に手が届くことだけを、目標にしなくても良いかと思います。泡立てたタオルを、どの長さで持ち、どの方向から背中に乗せるのかを、全通り試してみましょう。

一度、肩に掛けてから、垂れ下がった側を後ろから掴む、結髪動作のようにして、背中の上部を擦り、結滞動作のようにして、残りの下部を擦るなど、一緒に考えていけると良いですね。

洗顔動作

洗顔動作では、一見、立ちながら前屈した姿勢が取れない、という訴えが多いように見えますが、洗面台に腹部~大腿部を寄り掛からせることで解決することが多いです。

それよりも、手関節の橈屈運動が不足して、すくい上げた水が零れ落ちる、という点にも着目してみましょう。

手指の変形や可動域、あと、しっかり腋を閉めるなど、上肢全体の動きを観察、分析できると良いかと思われます。

爪切り

爪切りは、大事なエチケットマナーです。しかし、ただ切るだけでは、爪が四角くなって角が鋭角になってしまいます。

また面取りされていないと、服や靴下に引っかかったりしますので、ヤスリで整える方もいらっしゃるでしょう。

爪切り後の患者さんを介助する際、しっかり掴まれて「いてて…」となることもあります。

もしも、爪が肥厚しているなどの場合は、ハサミ(ニッパー)型を使う必要があるでしょう。もしかしたら、普通の爪をしていても、こちらの方が綺麗に切れるかもしれませんね。

切れ味やグリップの形状などの部分にも着目していけると良いでしょう。

機能面としては、患者さんの母指と示指の対立運動、ピンチ力を評価することになりますが、届きやすい姿勢、力の入りやすい持ち方、指ごとに切る角度などを一緒に考えていくと実用性が出てくるかもしれませんね。

しかし、この動作には重大な欠点があります。

それは、一度上手に切れると、しばらく練習出来ないということです。

長く伸びた爪を使って実践練習するのであれば、大事に少しずつカットしていき、チャレンジする回数を増やしていく配慮をお忘れなく!

おわりに

応用動作の分析手順も基本動作と一緒です。

食器を洗う、拭いて棚にしまう、洗濯物を干す、たたんでタンスに収納する。このような動作も全て同じ手順で進めて行けると思っています。

この動作は分析できるけど、この動作は出来ない、こんなことはありません。しっかりと共通しておりますので、患者さんの生活に寄り添った応用動作に着目してみましょう。

お酒好きな方の晩酌動作なんておもしろいんじゃないでしょうか?

普段の生活で何気なく行っている動作を考え、自分だったらこのような手順で分析していくなぁ~って感じでイメージトレーニングから入って頂き、

どんな動作でもかかってこんかい!

とイキれるセラピストを目指して頂ければと思います。

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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