筋力と筋発揮の関係性!なんでも筋力低下と判断するのは間違い

2018年8月27日

日々、患者さんの筋力低下に、頭を悩ませているセラピストの皆様、こんにちは。

実習中に作成したレポートを含め、問題点に挙がることの多い筋力低下ですが、

 本当に問題なんでしょうか?

なぜ、リハビリを受けている大半の人が、筋力が弱いと指摘されてしまうのでしょうか。

今日は、筋力低下についての考え方を、一緒に振り返ってみませんか!

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筋力について

マッチョな人は当然、パワーがあります。

筋力は、筋肉の収縮により作られるパワーですので、筋の断面積が広ければ、当然、強い力がだせます。

ではまず、筋力について触れてみます。

筋力低下の原因

筋力低下の原因を考えた時、皆さんは何が浮かび上がりますか?

 ◇ 一次性の筋力低下
  加齢による筋肉量の減少に伴うもの

 ◇ 二次性の筋力低下
  安静や筋の不活発で起こる廃用

 ◇ 筋原性疾患(Myopathy)
  筋ジストロフィーなどの疾患

 ◇ 神経原性疾患(Neuropathy)
  筋萎縮性側索硬化症などの疾患

その他にも、栄養障害や電解質異常、炎症性疾患など、様々な障害や疾患において、筋力低下は起こります。

皆さんは、これらの症状を抱える人に、

「筋力低下が問題点だ!」

と、指摘してあげたいですか?

もしも、自分自信が、このような状態になったことを想像してみて下さい。

頑張るぞ!と、リハビリ室に行きました。

どこからともなく、白いケーシーを着たセラピストが近づいてきます。

筋力を検査します!

「はい!力を入れて!」

と、何やら抵抗を掛けてきました。

そこで一言、

う~ん、どんな気持ちになります?

 かっ…こ…いい…(惚)

 リハビリってすごっ!

などと思うのでしょうか?

 

筋力が弱い自覚がある人なら

「んなこたーわかっとるわっ!」

と、全力で突っ込みたくなるでしょう。

 

逆に筋力低下の自覚がない人なら

「はぁ、そうですか…」

と、気の抜けた返事を返すかと思います。

筋力評価の注意点

筋力の検査は、MMT(徒手筋力検査法)が一般的です。

実習レポートを見れば、MMTの項目がたくさん並んでおり、問題点の欄には筋力低下が、びっしりと書いてありますよね。

あそこの筋力も弱いし、こっちの筋力も弱いぞ、あっ!あれも弱かった!

これではまるで、能力が無い、ダメ人間のレッテルを貼っているようにしか思えません。

もしかしたら、MMTをやる前から、

 筋力がどれくらい低下しているのか?

といった、低下ありきで検査をしていませんか?

その場合、検査結果が2とか3だと

「やっぱり筋力が低下していた!」

と、少し嬉しい気持ちになるのでしょうか。

まぁ、その時点で、

 筋力低下が無いと困る

 筋力低下が無いと話が進まない

といった、捻じ曲がった考えが入っています。

もう一度いいますが、MMTは筋力低下を指摘するためにあるものではありません。

このような使い方は、絶対に辞めた方が良いかと思います。

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筋発揮の特徴

ここで筋発揮のお話を挟んでみましょう。

筋発揮の低下について

皆さんもご存じの通り、人間の筋肉は100%の発揮が出せません。

これは「身体が壊れてしまう」という、防衛的なリミッターが作用しているからです。

界王拳や北斗神拳を体得しない限り、筋の動員率は、せいぜい80%程度になっているのです。

よって残りの20%の筋は、いざという時のために、良い意味でサボっているということです。

久しぶりに筋トレをすると筋肉痛になります。

これは運動不足により、サボっている筋線維が多くなってしまい、まじめに働いている筋線維への負担が大きいからです。

でも、しばらく筋トレを続けると、

すぐに10回→20回→30回と、できなかった運動ができるようになってきます。

これは筋力がUpしたのではなく、筋の発揮が上っているからになります。

普通、筋の断面積が拡大するには、数ヶ月掛かると言われています。たったの数日で、その効果が出ることは、考えにくいのです。

これは単純に、運動不足により、70%くらいしか動員されなかった筋線維が、80%とか増えていき、結果、サボっている筋が少なくなっただけなのです。

だからリハビリ室に来た患者さんに、

「はい!もっと力を入れて!」

なんて言っても、

 全く慣れていない動作

 身体の準備ができていない

という、無茶苦茶なことをさせているのですね。

さらに、できなければ筋力低下と指摘する…。

う~ん、理不尽だと思いません?

大抵の方は、いきなりやれ!と言われても、最大の能力が出せません。だから、能力はきっと小さく見積もられてしまうでしょう。

正確な検査をするのであれば、色々な配慮が必要ですね。

筋発揮の向上について

公園でジャングルジムを駆け登ったり、色々な場所で、飛び跳ねているうち子供を見て、

 プニュプニュの筋肉で、なぜできるの?

と思いました。

やはり、筋力というものを考えた時、どうしても太さ、厚さ、硬さなどに着目しがちです。

しかし、そんなことより、動員できる筋線維がどれだけあるのか!これが重要なんだと、考えるようになりました。

よって筋力訓練をするのであれば、対象となる患者さんが、どのような条件で筋発揮が向上するのか、これを徹底的に評価していく必要があるのです。

 ・軽い負荷と重い負荷

 ・重錘と徒手抵抗

 ・ OKCとCKC

 ・ 発揮が良くなる回

これらを、目の前にいる患者さんで試し、実施前と後で、どのような変化があるのかを、試行錯誤するしかないのです。

例えば、肩関節の固定性が弱く、肘関節の屈曲でパワーが落ちている場合、

 ① 肩の固定を助け肘屈曲に負荷を掛ける

 ② 肘屈曲を助け肩の固定を学習させる

どちらの方針で行くのかなど、複数回やってみて、その反応を診ないと判断できないのですね。

MMTで検査するのは、誰にでもできます。

しかし、筋肉の特性や、筋の発揮に着目するのは、やはりセラピストの役目なのではないでしょうか。是非、筋力と筋発揮を分けて評価してみて下さい。

筋力よりも筋発揮を優先

問題点に筋力低下が入ってしまうと、ゴール達成は絶望的になります。

なぜなら、高齢者での筋力Upは、数ヵ月掛かってしまうからです。ちゃんと食事と摂り、完璧な筋トレを提供しての数ヵ月です。

私には管理する自信がありません。

よって、筋力低下を指摘することは、

 対応できないけど頑張って!

と言っているように思えてしまいます。

セールスマンであれば、購買意欲を高めるために、あえて高い商品と比較したり、値引きするタイミングを工夫したりと、様々な努力をするでしょう。

しかし先程のように、

 MMTで筋力低下があった!

 これは問題だから筋トレしよう!

というように、なんでもかんでも筋力低下で済ませてしまうのであれば、理学療法士の仕事が浅はかだといわれても、仕方ありません。

しかし、筋発揮は違います。

今、患者さんが持ち合わせている筋肉を、どのように使うと良いのか、ここには介入する価値があると思います。

最大の能力を引き出せれば、きっと動作やADLに繋がってきます。

だから、筋力低下という言葉を一切使わず、筋の発揮に着目した評価を心がけてみて下さい。

それでは「筋力低下」が、患者さんの問題点から少なくなりますように!

今日はこの辺りで、アドュー!

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