食事動作の分析方法!~ADLを評価しよう~

2018年9月3日

お寿司を食べる時、ネタ側に醤油を付けようとひっくり返したものの、ポロンチョして醤油べちゃべちゃになってしまう不器用な皆様こんばんは。

さて、今回は、患者さんのQOLに直結する、最重要項目ともいえる、

「食事動作」

の評価方法、分析方法についてお伝えしてみたいと思います。

ADLの中でも、PTがあまり関わらない項目だとは思います。

この機会ですので、普段、食事動作に着目することのない方にも、見て頂けたらと思います。

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食事動作の正常とは

さぁ、お決まりの正常動作についてお伝えしてみます。

もはや、動作分析を語る前の、儀式になりつつありますが、「もう飽きたよ」という方も、必ず目を通して欲しいと思います。

食事動作における正常とは、

 どのような姿勢、

 どのような食材、

 どのような食器、

 どのような順番でも

食事が遂行出来ることを指します。

もちろん、逆立ちして食べるなど、非現実的なパターンは除外します。

さらに、麺類を上手く啜れない、猫舌で、熱い食材を食べるのに時間が掛かるなど、生まれつきの個人因子も、除外しましょう。

FIMでの点数

FIMでは、食事動作を、3つに分けています。

 1つ目は「かき集める」

 2つ目は「口に運ぶ」

 3つ目は「咀嚼して飲み込む」

というように分類し、その介助量を採点します。

 で? って感じですね…。

まぁ、FIMは、項目を単体でみていくと、粗が出てきますので仕方ないのですが…。

では、分析に移りましょう。

食事動作の分析方法

相分けする

学校では、動作分析をする時に「相分け」をしなさい!と習ったはずです。

まぁ、なぜ相分けをするのか、どうやって相分けをするのか、などの具体的な指導はありませんでしたが…。

過去の記事でも軽く触れましたが、

「食事で困っている」と言われても、

 ・お金が無くて食べ物が買えない

 ・1人で配膳が出来ない

 ・食べこぼしが多くて掃除が大変

 ・偏食で栄養状態が悪いなど

多岐に渡って考えられるため、一概に現象を捉えることができません。

よって、食事動作を評価するのであれば、しっかりと相を分けて、考えられるようにしておくべきだと思います。

箸の操作について

食事動作に関する主訴では、箸で食物を上手に取れない、というものが多いと思います。

しかし「手指の巧緻性低下」だけで、済まされてしまうことが多いので残念です。

箸の評価は色々あります。

 挟めるけど切れない

 すくうとこぼれてしまう

など、箸を使った、どの動作が苦手なのか位は、観察しておきましょう。

その項目を把握したら、

 箸を短く持ったら?

 あえて長く持ったら?

など、持ち方を複数のパターンで行わせ、どうしたらマシになるの?という、ポジティブなチャレンジをひたすら繰り返し、改善に向けた糸口を掴んで下さい。

ただ食事を横で眺めるのではなく、

 こうしたらどうなる?

 ああしたらどうなる?

と、ドンドン試してみることが必要ですね。

訓練だけでは、達成が難しい場合には、自助具の導入を考えます。

有名な物だと、トングのように、挟むことに特化した自助具箸ですね。

拡大してみると分かりますが、箸の握りに近いように、グリップの形状が作り込まれています。

箸にこだわりが無く、対立動作が難しい方であれば、握力が弱くても使える自助具のスプーンを勧めます。

患者さんに処方する場合には、当然、どのような曲がり角度、どのような食材が可能なのか、事前に試すことが必要です。

ただ勧めるだけで、あとは知らんぷり!とならないようにしましょう。

口に運ぶ動作

次は、せっかく箸でつかんだ食物を、口まで運ぶ作業になります。

この部分ができないケースは、可動域や筋力、麻痺や疼痛など、様々な原因が考えられますね。

この場合にも、それらの原因を排除していくのか、食器を持ち上げて、かきこむように食べる方が良いのか、これを判断していきましょう。

 肘をつかせた方が良いのか

 前屈して口から迎えに行くのか

どっちが良いのか、患者さんの気持ち、背景などを考慮して、決定してみて下さい。

進行性の疾患や、症状が固定したケースであれば、スプリングバランサーの導入などを検討してみるのも良いかもしれません。その場合には、作業療法士(OT)さんや医師、また家族などと、よく話をしてから決定していきましょう。

また、この相の前後で、着目して欲しい、2つの動作について解説したいと思います。

持ち上げる動作

まずは、箸やスプーンで、食物を持ち上げる、という動作です。この部分が不十分なため、上手に口まで運べない場合があります。

例えば、せっかく食物をすくい上げても、前腕の回外運動が出来ず、箸やスプーンを水平に保てないため、こぼれ落ちてしまうことがあります。

分析としては、箸食物を刺して、落ちにくい状態にしたらどうなるのか?

回外運動を促通し、水平に保つことを練習させたらどうなるのか?

これを確認します。

原因となる部位を、直接アプローチする方が近道なのか、行儀が悪くても、箸で刺す方が良いのか、患者さんのニーズを考慮して、方針を決めていく必要があります。

口に入れる動作

せっかく口元まで運んだのに、口が上手く開かず、食物がこぼれてしまっては勿体ないですね。

そのため、食物を小さく刻む、などの工程が必要になったり、食事スピードが極端に遅くなってしまう、などの原因になります。

口に上手く運べないのは上肢のせい!と決めつける前に、しっかりと受け取る側の口の動きもチェックしておけると良いかと思います。

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咀嚼と嚥下機能について

はい、これは完全に言語聴覚士(ST)さんの領域ですね。

だけどPTだってある程度知っておく必要がある項目だと思っています。

 ・義歯が合わなくて噛めない

 ・舌の動きが弱く送り込めない

 ・嚥下機能が弱くて時間が掛かる

 ・誤嚥性肺炎になるリスクがある

これらも食事動作で困っていることに入ります。

例えPTとして、直接的なアプローチは出来なくても、関われる範囲はあると考えています。

STがいるのであれば、食事の姿勢や、肺炎の予防、頸部や肩甲帯のリラクセーションなど、積極的に相談してみましょう。

おわりに

さて、食事動作を相分けし、その部分をその場で評価、分析していく手順をお伝えしてみました。

食事は1日3回という高頻度の動作になります。

またQOLにも大きく関わる重要な動作です。

お風呂に入らなくても、服を着替えなくても、生命への影響は小さいですが、食事はそうもいきませんね。

栄養状態が悪い状態では、積極的なリハビリが、かえって悪影響になるケースもあります。

箸が使いづらい?

だったら、

 ⇒ 小豆をお箸でつまむ練習

 ⇒ スプーンやフォークにしよう

こんな判断なら誰でもできます。

しつこいですが、眺めているだけで、評価をした気にならないよう気を付けましょう。

それでは、皆さんが積極的な食事動作分析を行い、根拠のあるアプローチが出来るようになりますように。

今日はこの辺りで、アドュー!

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