更衣動作の分析方法!~ADLを評価しよう~

2018年8月28日

ズボンを脱ぐ時に、靴下も一緒に脱ぐ!という効率重視派の皆様、こんばんは。

さて、基本動作ばかり分析しても、飽きてくると思いますので、少しずつ応用動作にも触れて行こうかと思います。

応用動作は、基本動作を軸に、食事やトイレなどで、上肢の操作を必要とする動作になます。この2つを、生活に当てはめたものがADLになります。

職場によっては、理学療法と作業療法で、分担しているかもしれませんが、基本的に評価の進め方は一緒です。

ただFIMを取るだけ、横で眺めているだけにならないよう、患者さんを主導しながら評価出来るよう目指しましょう。

<スポンサーリンク>

更衣動作の評価と分析

更衣動作で困っているといっても、最初から何も出来ない場合から、ボタンだけが止められない場合まで、幅広くあります。

また着ることはできても、1人では脱げない、などといったケースもあり、評価方法が多岐に渡るため難しいと思います。

しかし、どの動作分析でも基本は一緒です!

まずは正常な動作を考えましょう。

更衣動作での正常とは、どのような手順、どのような素材、どのような姿勢でも

「着る・脱ぐ」

が遂行出来ることを言います。

よって、麻痺側から袖を通す必要があったり、立ったままだと、シャツを着るのに時間が掛かるなどは、全て正常から逸脱していることになります。

普段から意識することなく、また、何気なく着替えている我々にとっては、患者さんの更衣動作を評価・分析するのは、イメージが付かないと思いますので、1つずつ確認していきたいと思います。

上衣操作の評価方法

さて、いつも通りにトレーナーを脱いで下さい!と言われたらどう思いますか?

恐らくパパっと脱げると思いますが、

「それがいつもの方法ですか?」

と聞かれると、自信がなくなりませんか?

服を脱ぐ、着るという動作は、それほどパターンが無限に存在する、ということになります。

そこでトレーナーが脱げない人が居たとします。

1人で脱ぐように指示したところ、右手で左の袖をつかんで引っ張るものの、左の肘が抜けなくて止まってしまったとします。

こんなケースに出会った場合、皆さんだったら次はどうしますか?

私だったら、

「んじゃ、右手から抜いて下さい」

と、反対をやらせてみるでしょう。

右からならあっさり出来た場合、片側だけできない!という事が分かります。

しかし、右からでもできないのであれば、そもそも、この方法が向いていないんじゃね?と思い、他の方法を提案します。

 腕をバッテンにして裾を持ち上げる

 襟を持ち上げて頭を引っこ抜く

色々試して、どの方法が脱ぎやすいのか、どの方法が苦手なのか、これを把握していくと思います。

やっているうちに脱ぎやすい方法に出会えるかもしれません。

そして、

 ・できないパターン

 ・途中で止まるパターン

 ・時間が掛かるパターン

 ・痛みが出るパターン

を把握していくことで、患者さんの能力が、徐々に見えてくるのではないでしょうか。

全てのパターンで服を脱げることが正常動作の条件になるので、想定できる様々なパターンを試し、どの部分が異常なのかを、炙り出す必要がありますね。

袖が抜けないケース

それでは先ほどのケースをもう少し掘り下げてみましょう。

右手で袖を引っ張るが、左の肘が抜けなくて、そこで終わってしまう方の場合、

 右手で掴みづらいんじゃね?

という疑問から、患者さんの右手の指を観ます。変形がないか確認するし、対立運動が出来るのか、オッケーサインやグーチョキパーをさせてみるでしょう。

もし問題がなければ、

 右手の握力がないんじゃね?

という疑問から、患者さんの右手を握り「強く握って」と指示してみます。

強く握れた場合には、指の力が無いわけじゃないのね、オッケー!と判断します。

次に、強く握った手を「引っ張って」と言って、袖を引っ張る力を確認してみます。

ググっと引っ張られたなら、右手で袖を引っ張る力が無い訳じゃないんだ!と判断します。

 右手じゃなくて、左手じゃね?

という疑問から、左上肢の曲がりを確認します。

左上肢を持ち、四方八方に動かして、可動域を確認しながら、痛みの有無も聞いてみましょう。

自分で、トレーナーの袖を引っ張ってみると分かりますが、腕を引っこ抜くのって、結構大変ですよね。肘は極限まで曲げなくてはならないし、その状態で肩関節を力強く伸展しなくてはならないんですね。

患者さんの左手を動かしながら、肘を袖から抜くための運動が、可能なのかを確認していきましょう。

このようにただ横で眺めるでのはなく、1つずつ確認作業を行い、これは違う、これは関係してそうだなど、1つずつ因果関係を確認していくことが、更衣動作分析には必要なのではないかと思います。

頭が抜けないケース

では同じようなケースでもう一度おさらいしてみましょう。

両手で首の後ろの襟を持ち、頭を引っこ抜こうとした状態で止まってしまう方がいたとします。

先程と同様に、

 しっかり襟が掴めてないんじゃね?

という疑問から、握力や手指の変形の有無、痛みはあるのか?などその場で確認します。

指に異常がなさそうであれば、引っ張り上げる力が無いの?可動域が無いの?痛みは無いの?と1つずつ確認していくと思います。

 襟を掴む指の力は問題なし!

 襟を引っ張るための可動域は問題なし!

このように2つが判明したのであれば、次は引っ張る力について評価していきましょう。

それでは襟を両手でつまんだ状態で引っ張り上げる上肢を助けたところ、あっさり抜けたとします

 パワーが足りなかったのか

 方向の誘導が良かったのか

いったいどちらが正解なんでしょう?

それを確認するために、次は手助けする介助力を減らしながら、数回行わせてみましょう。

どんどん脱ぐのが上手になってくるのであれば「コツを掴んできた」と判断します。要するに、筋力や可動域などの機能面に、問題は無かったと判断できます。

数回やらせる中でも、ちょっとこっちの方向に引っ張ってみましょう!といって、トレーナーを引き上げる方向を、変えてみたりもします。

更衣動作だけに限りませんが、1つやらせたら1つ解決する!このような進め方が、動作分析に必要な工程になります。

シャツが着れないケース

それでは、反対に脱ぐのは1人で出来るけど、シャツが着れないという、主訴をお持ちの方が居たとします。

当然、右手から袖を通させたり、頭から通させたりと様々なパターンをやらせます。

どのパターンでも、特に問題なく出来ている場合、もしかしたら、お風呂上がりなどで背中が濡れていると、摩擦でシャツが背中で止まってしまう方なのかもしれません。

結帯動作のように、背中まで手が伸びなくて捻じれた裾を直すことが出来ないのであれば、なぜ手が後ろに届かないのかという評価していきます。

そしてこの場合は、シャツが着れないのではなく、背中の捻じれを、自分1人で直せないことがターゲットになるので、

 ・身体を良くふき取りましょう

 ・少し大きめのシャツを着ましょう

 ・前が開くタイプの服に変えましょう

と、指導することになりますね。

しつこいですが、様々なパターンをどんどん行わせて、1つずつ理解を深めていきましょう。

<スポンサーリンク>

下衣操作の評価方法

続いてズボンやスカートなどの下衣に移りたいと思います。

恐らく主訴で多いのは、立ったまま履けないというものだと思われます。

当然、足を通す際に片脚立位となるので、バランス能力や素早い下肢の上げ下げが求められます。

評価をするにあたり、実際にリハビリ室でズボンやスカートを脱いでくれ!とお願いする訳には行きませんので、セラバンドで輪っかを作り、ウエストのゴムに見立てるのも1つの手です!

さて、片脚立位が全く取れないのであれば、壁に寄りかかってもらいます。

この時、足を挙げる側もしくは支持する側のどちらも試して下さい。また壁に肩を押し付けるのか、骨盤を押し付けるのか、背中全体を付けるのかも試しましょう。

まずは、どのようにすればできるのか?これを知ることから始めて下さい。色々な方法を試すうちに、少しずつ原因が観えてくるはずですよ!

おわりに

更衣動作で困っている人に向かって、

あえてバランス能力低下やら麻痺による随意性の低下などを指摘する必要はありません。

ここでは、

「こうやったら楽だよね」

「この順番でやったら上手く行くよ」

「危ないから座ってやろうよ」

なんとなく印象だけで判断するのではなく、自信を持って患者さんに伝えられることができる、これが評価が出来た証拠なんじゃないかと思います。

繰り返しお伝えしておきますが、横で観察して、

 このような手順で脱いでいた

 この部分で着れなくて止まってしまった

こんな感じの「眺めるだけ」は評価ではありません。

その場で口を出して、手を出して、どのような変化があったのかを、分析していくことで、様々なADL動作を、評価出来るようになります。

最初は、次の手順が思い浮かばなくて、頭が真っ白になることもあるかと思いますが、それも修行のウチ!

継続すれば、ちょっとずつ選択肢が増えてきます!諦めないで続けて頂ければと思います。

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

<スポンサーリンク>