筋萎縮性側索硬化症(ALS)の出題ポイント!PTの国家試験対策

2018年9月3日

現在、リハビリ職を目指し、国家試験勉強を頑張っている学生の皆様、こんにちは。

神経筋疾患の国家試験対策の第2弾は、

 筋萎縮性側索硬化症
Amyotrophic lateral sclerosis:ALS

を、お送りしたいと思います。

近年、アイスバケツチャレンジなどで注目された、とてつもなく進行が速く、数年で臥床状態となってしまう難病です。

パーキンソン病と比べて、国試での出題頻度は少ないですが、球症状や上位や下位運動ニューロンの症状を把握できる、よい機会ですので、一緒に確認していきましょう。

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ALSについて

運動ニューロンの変性により、筋萎縮と筋力低下、錐体路徴候が出現する進行性の難病です。

神経が変性、脱落することで、全身に力が入らなくなります。

発症後、3~5年ほどで、臥床状態になり、人工呼吸器を使用する方もいます。

動画の方のように、目の動きなど、残存機能により、コミュニケーションを取ることが多いです。

神経系の症状

ALSでは、中枢神経、末梢神経のどちらも変性します。

中枢神経は、神経線維の減少により硬化し、末梢神経は前角細胞の変性、脱落がみられます。

<中枢神経>
大脳皮質から神経核、前角細胞へシナプスする直前までの神経であり、上位ニューロン、一次ニューロンと呼ばれるもの

 <末梢神経>
中枢神経から信号を受け取る神経核、前角細胞から、骨格筋や器官などへ向かう神経で、下位ニューロン、二次ニューロンと呼ばれるもの

ALSに関する問題は、解剖学、生理学で神経を理解しておけば、それほど難しくありません。

神経系の復習は、以下の記事で!

それでは、中枢神経と末梢神経の症状と、2つの違いをおさらいしましょう。

  中枢神経障害 末梢神経障害
筋緊張 亢進または低下 低下
筋萎縮 ( - ) ( + )
線維束攣縮 ( - ) ( + )
反射 亢進 減弱または消失

当然、椎間板ヘルニアだって、脊髄が圧迫を受けるのと、神経根が圧迫を受けるのでは、違う症状になります。

ALSの場合には、どちらも障害されるので、筋は痩せ細っているけど、突っ張っている、なども珍しくありません。

どのような症状が出ているかは、セラピストが直接、評価しなければ分からないのですね。

球麻痺は必発

球麻痺って聞きなれないですよね。

実は、延髄に神経核を持つ、

 舌因神経核

 迷走神経核

 舌下神経核

より下位の、末梢神経障害で出現する症状です。

延髄は、その形から英語で、Bulb=電球とされており、舌や口、咽頭や口頭に障害が起こることで、構音や飲み込みに関する能力が、低下します。

これらを総称して、球症状球麻痺症状と呼びます。

嗄 声(させい)

声帯がしっかりと閉じないため、声がかすれる、息が漏れたような力弱い話声になってしまう

開鼻声(かいびせい)

鼻から息が漏れてしまうため「か」が「んが」、「す」が「ぬ」のように聞こえてしまう

嚥下障害

アイスの棒を喉の奥に入れると、おぇっ!ってなるのが、咽頭反射です。

そして、飲み込んだものが気管に入らないよう、蓋をする嚥下反射があります。

球症状は、末梢神経障害なので、これらの反射が低下、もしくは消失します。

よって、食事をする=誤嚥性肺炎、といったリスクが高まります。

そのため、球症状は、コミュニケーションや食事を奪うため、患者さんのQOLを大きく低下させる因子ということなんですね。

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国家試験の出題ポイント

まずは、全体的に覚えて欲しいこと、をまとめました!

 ・上位と下位の運動ニューロンの変性

 ・50歳以後の男性に多い

 ・筋萎縮と筋力低下が主症状

 ・筋委縮は遠位部から始まる

 ・舌や母指球の筋委縮が顕著

 ・舌や筋に線維束攣縮を認める

 ・発症後3~5年で要人工呼吸器となる

 ・コミュニケーション手段を確保する

 ・知能障害や失語症は出現しない

続いて、その他のポイントです。

ALSの陰性4徴候

陰性とは「出現しない」という意味です。

実は、ALSの初期では、出現しないとされる4つの徴候があります。

【 陰性4徴候】
 1)感覚障害

 2)膀胱-直腸障害

 3)褥瘡

 4)眼球運動障害

国家試験では、この陰性4徴候を、選択肢に入れ込む傾向が強いです。

例えば、

 家族に導尿を指導した!

 褥瘡予防のため、体位変換が必要!

といった選択肢は、×と考えましょう。

実際は、絶対に出現しない訳ではありませんが、あくまで国家試験用として覚えておきましょう。

運動負荷について

運動療法については、 患者さんの負担になる訓練は、基本的に×だと思って下さい。

 ・高負荷のトレーニング!

 ・強い抵抗をかけた運動!

 ・筋力Upのために負荷を漸増する!

このようなワードは、症状を悪化させる可能性があるため、×とします。

廃用を予防するための、低負荷で愛護的な訓練を選択して下さい。

進行状態に合わせた訓練

残念ですが、ALSでは、リハビリにより、症状が急激に回復することはありません。

よって、車イスの人を歩かせる、1人で階段昇降ができるようにする、などといった、進行状態を逆行するような訓練は×と考えましょう。

反対に、診断直後の初期段階に、コミュニケーション機器を導入する、車イスを作成するといった、時期尚早な選択肢も×です。

 ・下垂足が出現 → 軽量の下肢装具を装着

 ・食事が難しい → バランサーを導入する

といった感じで、患者さんの、今の状態に合わせた対応を、選択するようにしましょう。

おわりに

つい、長くなってしまいました。

実は、ALSの重症度分類も重要なのですが、量が多いことと、今まで、1点問題でしか出ていないので、割愛しております。

繰り返しになりますが、ALSという病気を通して、中枢神経と末梢神経の違い、出現する症状などを、再学習して頂ければと思います。

それでは、皆さんの平均点が、1点でも多く上がりますように。

今日はこの辺りで、アドュー!

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