ダブルニーアクションから学ぶ!歩行における膝関節の役割

2018年9月3日

矢状面からの歩行観察って、廊下が狭いとやり辛いよね?と感じている皆様、こんばんは。

膝関節の運動は、屈曲と伸展のみですので、観察は矢状面からしかできません。

歩行での膝関節は、遊脚期で1回、さらに立脚期で1回、計2回の屈伸運動をするので、

「ダブルニーアクション」

と呼ばれております。

今日は、歩行観察で着目する頻度が高い膝関節を、画像と動画を使って説明してみたいと思います。

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ダブルニーアクションとは

本当に2回も屈伸運動してるの?

という人に向けて、非常に分かりやすい動画があったので、紹介したいと思います。

緑の扇型の中にある数値は、膝の関節角度です。数値が大きくなれば伸展運動、小さくなれば屈曲運動ということです。

リアルタイムの変化を確認してみましょう。

どうでしたか?

立脚相と遊脚相で、各1回ずつの屈伸運動が観察できましたか?

この後の説明では、もう少し詳しく解説しますが、ランチョ・ロス・アミーゴによる記載がでてきますので、一覧表を用意しておきますね。

アミーゴ方式 従来型
イニシャルコンタクト:IC 踵接地
ローディングレスポンス:LR 足底接地
ミッドスタンス:MSt 立脚中期
ターミナルスタンス:TSt 立脚後期
プレスウィング:PSw 踵離地
イニシャルスウィング:ISw 遊脚初期
ミッドスウィング:MSw 遊脚中期
ターミナルスウィング:TSt 遊脚後期

それでは1つずつ確認してみましょう。

立脚相での膝関節

膝関節の数値を見て下さい。

ICでの膝関節は178°で、

LRでは168°になっていますので、

IC → LRで10°屈曲が起こっています。

その直後、膝関節が伸展して

178°になっていますので、

LR → MStで10°伸展が起こっています。

よって、1回目の膝のアクション(屈伸)は、踵接地から立脚中期の間で起こっていることが解りました。

遊脚相での膝関節

では2回目のアクションです。

PSwでの膝関節は162° 屈曲位でした。

つま先が離れた瞬間、股関節の屈曲と同時に、膝関節は急激に屈曲運動を始めます。

遊脚期に入った瞬間は141° になり、MSwでは118° になっていますので、

瞬間的に、40° 以上の屈曲運動が起きています。

この膝関節の屈曲運動+足関節の背屈運動により、床とのクリアランスが十分に確保されていますね。

そして、118° まで屈曲運動を続けた膝関節は、踵接地(着陸)に向け、振り子のような動きで伸展していきます。

MSw118° → TSw151° ですので、

瞬間的に30° 以上の伸展運動が起こっているのですね。

いや~、時間にすると0コンマ何秒の世界なのに、膝関節は忙しく動いてくれていますね。

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膝関節の観察ポイント

立脚相の10°に対し、遊脚相では4倍の40°の屈伸運動が起こっていました。

当然、この割合は個々に変化すると思われます。

それでは、膝関節の動きに着目した、歩行観察の特徴を説明していきます。

底屈運動と屈曲運動

観察はICからLRになります。

足関節の底屈は、前頚骨筋の遠心性収縮で行われています。

そのため、起始部である下腿を前方へ引っ張ることで、膝は前方へ移動、即ち屈曲します。

この膝関節の屈曲は、大腿四頭筋の遠心性収縮により制御されます。

よって、前頚骨筋が下腿を引っ張り過ぎると、大腿四頭筋が負けてしまい、膝関節は不安定になります。

ここでは、足関節の底屈運動が、滑らかに行われているかに着目して下さい。

遠心性から求心性収縮

大腿四頭筋の収縮が、遠心性から求心性に切り替わると、2つの作用が生まれます。

1つ目は、膝関節を伸展させること。そして2つ目は、前傾する下腿にブレーキを掛けることです。

この筋活動の切り返しが上手くいかないと、やはり膝関節は不安定になり、膝折れ転倒などの原因につながってしまいます。

股関節の振り子運動

つま先が床から離れると同時に、股関節の屈曲が始まります。

この股関節の振り子運動は、わざと下腿を置き去りにします。それは、慣性の法則により、膝関節を屈曲させるためです。

電車が急発進すると、進行方向とは逆にバランスを崩すのと一緒ですね。

よって股関節を屈曲する時の、パワーや速度が不足すると、膝関節の屈曲角度は少なくなります。

これが、トゥクリアランスの低下を招く原因になります。

下腿の振り子運動

MSwの後半では、股関節の屈曲運動にブレーキをかけ、下腿の振り子運動を起こします。

大腿の動きは止まるけど、下腿は前に進もうとするため、膝関節は伸展していきます。

この時は、大腿四頭筋の活動によるものではなく、先程と同様に、慣性の法則によるものです。

急に電車がブレーキを掛けると、進行方向へバランスを崩すのと一緒になります。

しかし、足関節を背屈位で保てず下垂足がある場合、股関節はブレーキを掛けず、屈曲運動を続けます。下肢を、より高い場所に挙げることで、つま先が引っかからないようにするのですね。

これが鶏歩の原因になります。

おわりに

さて、ダブルニーアクションを意識するだけで、色々な情報が入ってくることが解りました。

膝関節を観察するなら、隣り合う股関節や、足関節も同時に観る必要があるのですね。

屈曲と伸展しかない膝関節を理解するのにも、これだけの手間と知識が必要になります。

 歩行観察が難しいのは当たり前!

歩行観察力を高めるコツは、まず1つの関節から観察し、そこから隣接する関節へ、少しずつ視野を広げていくことだと思います。

次の関節は、足関節にしてみますか?

得意な関節を作り、解剖学、運動学と繋げていき、徐々に知識を増やして下さいね。

 近道しても遠いよ!

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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