ワイドベース歩行の観察と分析!~特徴と原因について~

2018年6月10日

前を歩く人の、歩幅や歩隔が気になってしまうというセラピストの皆様、おはようございます。

ガニ股や猫背って、人から指摘されても、中々、すぐに直せないですよね。

特にワイドベース歩行の人は、

 こう歩いた方が良いよ!

と見本を見せられても、すぐに修正するのが難しい人ばかりなのです。

そこで今日は、歩行のメカニズムを少しでも理解して頂けるよう、ワイドベースの特徴や原因について触れてみたいと思います。

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ワイドベースとは

前額面上から観察した際、足部と足部の間隔、いわゆる歩隔が広い場合に指す言葉です。

歩行をしっかり見てみると、ほとんどの人の歩隔は、スレスレのギリギリです。

特に女性の方は、

「よくぶつからないなぁ~」

と感心するほど、歩隔が狭い状態で歩いている方が多いです。

ワイドベースの定義はありません。

しかし歩行中に、明らかに1~2個は拳が入るだろ!という場合に対して使われています。

観察した人が「ベース広っ!」と思えば、それがワイドベース歩行になってしまうのです。

よって自分の中で基準を作るため、日頃から前を歩いている人の歩隔に着目して軽くデータを取っておきましょう。

ワイドベースの特徴

ワイドベース歩行の特徴は、コンパスのように、足を広げながら歩くことです。

支持基底面は横に広がるので、側方の動揺に対して安定感がでます。

また頭部や肩甲帯、脊柱といった、上半身の関節運動が少ない、という特徴もあるのです。

特に、立脚中期では、その他の歩行と相違するところが増えます。

変形性股関節症でよく出現する、デュシェンヌ歩行と比較して、説明してみたいと思います。

<表 – 通常歩行との違い>

通常歩行でのMStでは、頭と骨盤と足部が一直線に近いため、無駄な筋活動が少なくなります。よって、エネルギー効率が良い運動だといえます。

ドュシェンヌ歩行では、頭部と足部を一致させるために、股関節の外転運動と一緒に、骨盤ごと身体を傾けるため、無駄な動きが多くなります。

対してワイドベース歩行では、骨盤の傾きはわずかですが、頭と足部がズレているため、側方への荷重移動が不十分になります。

それを補うために、立脚側の股関節内転筋群、また足部を外反させるための筋活動が高まります。

ここまでエネルギー効率を犠牲するのは、

 重心を支持基底面から絶対に出さない

という一点を大事にしているからです。

歩隔を広げている人って、側方の安定性限界に、不安がある人だということですね。

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ワイドベースになる原因

ワイドベース歩行は、小脳性運動失調がある人に、圧倒的に多くみられます。

効率の良い歩行ほど、頭や骨盤の位置、また下肢の運動などは、毎回、同じになります。

しかし、運動失調があると、毎回、同じ荷重移動ができないため、ぎこちない歩行になります。

左右や前後へふらつく、酩酊歩行となるので、その防衛的な反応だといえるのですね。

失調の人は「継ぎ足歩行」が苦手です。

重心移動の調整がむずかしいため、安定性限界が狭くなることで、失調性歩行が顕著となってしまいます。

そのため、失調がある方には、歩隔を広くするというのは、絶対に譲れない反応なのですね。

ワイドベースで歩くのが問題なのではなく、ワイドベースでしか歩けないことが問題だということです。

ワイドベースは修正可能?

ワイドベース歩行では、左右へ荷重移動する距離が長いため、片側の下肢へ荷重している時間はわずかです。

すぐに反対の下肢へ荷重を移すため、しっかりと荷重せず、一瞬しか足を挙げずに歩きます。

そのため遊脚相は短縮し、

 焦っているの?

と言いたくなるような、早歩きをしています。

失調がある方に、

「ゆっくり歩いて下さい」

と指示を与えると、ほぼ全員の方が、一歩ごとに止まる、という選択をします。

両足を着いた瞬間だけ止まっているので、本人はゆっくり歩いているつもりでも、遊脚相は短いままなのです。

その場合、

「スローモーションで歩いて下さい」

と指示をすると、渋々、やってくれます。

しかし、立脚相への荷重が不足していたり、過剰だったりと、そのばらつきにより、左右へのふらつきは顕著になります。

これが、恐怖心の元となっていますので、ワイドベース歩行は、無理に修正すると余計に悪化するということです。よって、訓練だけで改善させることは、難しい徴候なのですね。

その人に適した歩行速度、杖の使い方、歩行器の選定などに介入していくことが、望ましいのではないでしょうか。

左右への不安定さをカバーするため、患者さんが考えた独自の歩き方を、少しだけ尊重して頂ければと思います。

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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