むくみはなぜ起こる?浮腫のメカニズムと評価方法について

2018年8月28日

患者さんの浮腫(むくみ)を取るために、一生懸命マッサージを頑張っている皆様、こんばんは。

生理学の授業で習った浮腫。

授業で、しっかり理解できましたか?

難しい言葉が出てきた辺りで、なんとなく…、で止まっている方もいるかと思います。

そこで今日は、誰でも簡単に理解できるよう、浮腫のメカニズムと解消策について、分かりやすく解説していきたいと思います。

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浮腫について

人間の身体の水分量

人間の身体の、約60%は水分で構成されています。

水分といっても、水道水が入っている訳ではなく、人間が生きていくために必要な成分を、体液として蓄積しています。

その内訳は、このようになっています。

こうやってみると、血液って、案外少ないんですね。

細胞外液と細胞内液

細胞がいくつか集まると組織になります。

そこで、細胞を「いくら」で例えてみましょう。

粒の中に入っている液体を、細胞内液とします。

スーパーでお肉を買う時、手に取ったパックに赤い水が入っていることがあります。

あれは、血ではありません。細胞が壊れたことで、中の水が外に出てしまったのですね。

反対に、粒と粒の間にある水分を細胞外液とします。

要するに、組織の隙間を埋めている水分ということです。そのため、組織液や間質液と同じ意味になります。

そして、この細胞外液の過剰な蓄積こそが、憎き、むくみの原因なのですね。

毛細血管の透過性

では、なぜ細胞外液が増えるのでしょうか?

答えは、毛細血管のトラブルです。

毛細血管は、組織に栄養や酸素を届けるため、血管の壁が網目状になっています。

そのため、水を血管の外へ押し出す静脈圧が強すぎたり、炎症などで、血管壁の網目が粗くなると、必要以上に水が外へ出てしまうのですね。

浸透圧による回収

静脈圧により、水が押し出される一方では、すぐに溢れてしまいますよね。そのため、水分を血管に戻す回収も行われているんですね。

その回収方法の1つに、浸透圧があります。

生理学で習ったと思いますが、この言葉が難しいので、浮腫がややこしく感じるのですね。

まずは、この4つを覚えておいて下さい。

 浸透圧 = 浸透するための圧力

 何かが溶けている水 = 浸透圧が高い

 何も入っていない水 = 浸透圧が低い

 浸透圧が低い方から高い方へ力が働く

ということは、血管の中にある血液の方が、外にある水よりも、浸透圧が高いということです。

そのため、血管の外にある水は、血管の中に吸い寄せられ、水が回収されるのです。

お新香などは、塩が作る浸透圧により、細胞や組織の水を、無理やり外に出しているのですね。

そこで!

しょっぱい方、甘い方へ水が動く!

これだけを覚えておきましょう。

それでは、血管の中で起こる、2つの浸透圧を紹介しておきますね。

血漿浸透圧

血漿に含まれる電解質である、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどが作る浸透圧のこと。

膠質浸透圧

血漿に含まれるタンパク質である、アルブミン、グロブリン、フィブリンが作る浸透圧のこと。

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リンパ系による回収

さて、一度出てしまった水は、毛細血管から再度、回収されるメカニズムを説明しました。

しかし、1つだけ問題があります。

それは、毛細血管の網目が、とても細かく小さいことです。

電解質などは、出入りできますが、分子の大きいタンパク質、老廃物などは血管に戻れません。

そこで、それらを回収するため、下水道的な役割をするのがリンパ系になります。

毛細血管と同様、末梢には毛細リンパ管があり、そこから徐々に太くなり、最後は静脈に流れるルートを持ちます。

ここでの回収作業の遅れが、いわゆる、

「リンパの流れが悪いですね~」

という事です。う~ん、みんな解って使っているのかな…。

浮腫の原因

原因は様々ありますが、肝臓の機能障害や、低栄養状態により、アルブミン減少に伴う、膠質浸透圧の低下が考えられます。

また、筋のポンプ作用では、静脈やリンパの還流量が増加しますので、動かない状態、すなわち廃用性浮腫も起こり得ますね。

そして、国家試験にもよく出る、最も重要な原因を2つ挙げていきます。

腎臓のトラブル

腎臓は、血液を濾過して尿を作りますが、この濾過装置に異常が出て、タンパク質をドンドン捨ててしまうとどうなるでしょうか。

普段、血管内に留まるはずのタンパク質が無くなることで、血管内の浸透圧は低下します。

そのため、水の回収作業ができなくなり浮腫が起きる。これを腎性浮腫と呼びます。ネフローゼ症候群なんかが、それにあたりますね。

心臓のトラブル

心臓は血液を循環させる源です。

送り出した動脈血は、巡り巡って、大静脈から心臓へ戻ってきます。

しかし、心不全などで拍出のパワーにトラブルが起きると、ゴールまでたどり着けない血液が増えてしまいます。

その結果、血管内に多くの血液が残ると、水を回収するスペースがないので、浮腫となります。

さらに、窮屈な血管から逃げ出そうとするため、悪循環が止まりませんね。

このような状態は、うっ血性心不全で出現します。学生さんは、しっかりと覚えておきましょう。

浮腫の評価

圧痕の評価

浮腫への一般的な評価は、浮腫があると思われる場所を指で押し、数秒経って離した後、へこみが残るかを確かめます。

圧痕(あっこん)は、目で確認するのではなく、指の腹でなでると解りやすいです。

人間の指先は繊細なので、わずかな圧痕も感じることができるでしょう。そして、圧痕が残る深さや時間を記載しておきましょう。

周径の実施

浮腫が強く出現すると、骨ランドマークが見えづらいですが、四肢の周径を行っておくべきです。

左右差も分かるし、リハビリの効果判定できます。

測定数値をドクターと共有すれば、投薬などの影響もみえてくるかもしれませんね。

浮腫への対応

下肢挙上

自分の力で戻せない水を、重力の力を使って代償的に戻すのが、下肢挙上です。

一般的には、30cmくらい挙げるそうですが、効果については確かなエビデンスは無いそうです。

病棟で電動ベッドを使っている患者さんであれば、簡単に設定できるので、気休め程度にチャレンジしてみて下さい。

マッサージ

リンパ系への効果を期待するのであれば、優しくなでるように摩りましょう。当然、遠位から近位に向かって実施します。

リンパ管は表層にあります。強く押してリンパ管を潰してしまわないよう、愛護的に行います。

筋へマッサージし、血流を良くしたいのであれば、強めに力を入れます。皮下組織を潰し、強引にほぐす必要がありますね。

どちらが効果的なのか、実施前後で周径を取るなどして、その方に合う方法を選択しましょう。

弾性ストッキング

隙間があるから水が貯まる…、だったら隙間を埋めればいいじゃない!ということで、弾性ストッキングを着用させることが多いです。

弾性包帯で末梢から中枢へ、らせん状に圧迫していくのも効果的です。外した後がスッキリするそうです。

だから、リハビリ開始時に包帯を巻いておき、運動療法が終わってから外す、なんてことをしています。

物理療法

時には、機械の力を借ります。

メドマーという、空気を間欠的に出し入れすることで、足部~大腿までマッサージできます。

自宅で使用するため、個人で購入する方もいましたよ。

運動療法

やはり、動かないと始まりませんね。

廃用性の浮腫もあります。皮膚、筋、あらゆる結合組織を動かし、水に流れを作りましょう!

当然、心原性の浮腫などでは、運動負荷に注意するのは、言うまでもありません。

リスク管理のもと、身体を動かす機会を作ってあげましょう。

おわりに

さて、今回は浮腫についてお話しました。

 なぜ、塩分を摂ると高血圧になるのか

 なぜ、水分を飲んでも脱水症状になるのか

少し、イメージできるようになったのではないでしょうか。

浮腫は、即時的にパパっと良くすることは難しいと思います。患者さんに合わせて評価し、色々なアプローチを試して行きましょう。

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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