固縮に対するリハビリテーション!動かしやすい筋を提供する
臨床で、パーキンソン病患者さんを担当されている、PT・OTの皆様、こんばんは。
本日のテーマは、パーキンソン病の固縮です。
固縮という筋緊張異常は、初めて触る方でも、きっとすぐに理解できる、シンプルな現象です。
まずは、固縮の特徴を知って頂き、動かしやすい筋を提供するための、介入方法などをお伝えしていきます。
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固縮について
固縮(こしゅく)とは、パーキンソン病関連疾患でみられる、筋緊張の亢進を指します。
固縮がある患者さんの筋は、弾力が失われ、まるで硬くなったゴムのように伸びなくなります。
当然、運動の阻害因子になりますので、固縮の特徴を知り、その対応策を、理解しましょう。
出現する順番
パーキンソン病は、右足の動きづらさ、左手の振戦など、四肢のいずれかから、発症することが多いとされています。
図のように、下肢から発症すれば、同側の上肢、対側の下肢、対側の上肢といったように、Nを描くように進行していきます。
そのため、固縮が、四肢のどこにあるのかを把握しておけば、進行の目安になるということですね。
固縮の検査方法
筋の緊張ですので、筋を指で押した時に感じる、筋の張り(弾力)とは別になります。
あくまで、被動性検査で行われる、他動運動時の抵抗感になります。
※筋緊張検査はこちら
しかし、パーキンソン病患者さんは、脱力が苦手なので、筋緊張検査では、ある程度、筋活動が混ざっていることを、予め理解しておきましょう。
鉛管様固縮について
読み方は、えんかんよう固縮になります。
他動運動では、持続的な抵抗を感じます。
鉛管様固縮は、頸部、体幹、四肢近位筋に多くみられ、関節を曲げる時も、伸ばす時も、どちらも一定の抵抗感が続く、分かりやすい徴候です。
患者さん自身も「鉛が張り付いているみたい」と表現されますので、検査する時には、頭に鉛の棒をイメージしながら、やってみて下さい。
歯車様固縮について
続いては、歯車様(はぐるまよう)固縮です。
他動運動では「カクカクッ」という、断続的な抵抗感があります。
これは、手指や手関節など、末梢部に見られやすいとされています。
一般的には、脳血管性パーキンソニズムや、筋緊張が高い人ほど、みられやすい徴候だそうです。
う~ん、経験上では、一貫性がないように感じるんですけどね…。
いずれにせよ、この2種類の抵抗感があった場合、固縮あり!と判断していきます。
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固縮のリハビリテーション
固縮がある場合、常にブレーキを掛けた状態で、運動をしているようなものです。
そのため、その影響をできるだけ少なくすることが、リハビリテーションに求められます。
それでは、その内容をみてみましょう。
ストレッチによる調整
まずは、ストレッチです。
硬くなった筋、動かさなくなった筋、どちらも伸張性を再獲得する必要があります。
ストレッチで期待する効果は、
・筋の粘弾性を向上させる
・脱力できるようになる
この2つになります。
持続的伸張をすると、アクチン線維と、ミオシン線維の滑走性が促され、筋線維そのものがほぐれてきます。
また、患者さんは力を抜いているつもりでも、きちんと脱力できていないので、
ストレッチの途中に、筋を揉みながら、
「ここの力を抜きましょう!」
と、力の抜き方を教えてあげると、効果的です。
運動による筋の使用
たくさん使うことで、筋の粘弾性は向上します。
さらに、徒手抵抗運動などで、大きい動きをさせると効果的です。
この時、もっと大きく!とか、もっと強く!などと、声掛けをして、できるだけMAXパワーを引き出させると良いでしょう。
筋を意図的に収縮させ、負荷を掛けることで、しっかり収縮することに、慣れさせていきます。
その方が、力を発揮できる方向、タイミングを把握し、運動療法に取り入れていきましょう。
介入の前後で評価する
ストレッチや、抵抗運動をしただけでは、どのような効果があるのか実感できません。
介入したら、運動範囲や、動作の速度など、向上した部分を拾い上げましょう。
これは姿勢などからも判断できます。
パーキンソン病の方が背臥位を取ると、床と身体が隙間だらけですが、ストレッチ後に隙間が減り、接地面積が増えているのであれば、脱力ができるようになった!と判断できますね。
介入後は、起居動作や歩行を再評価し、リハビリの効果を裏付けしておきましょう。
自主訓練の活用
比較的、固縮はリハビリの介入効果が、高いと感じています。
そのため、定期的にリハビリを受けられない環境の人であれば、自主訓練に取り込んでいきましょう。家族の協力を得て自宅でストレッチをするのも手ですね。
さすがにセラピストと同じ効果は期待できませんが、廃用を予防したり、意欲を出させたりすることができるでしょう。
ぜひ、その方の能力に合わせた、自主訓練のプログラムを、処方してあげて下さい。
おわりに
固縮は、パーキンソン病の四大徴候のひとつです。だから、出現するのが当たり前です。
PT・OTに求められることは、固縮の影響が少なくなるよう、筋の状態をコントロールし、姿勢や動作を維持させることだと思います。
筋緊張検査で固縮があった、だから問題だ!と、一方的な評価にならないよう注意しましょう。
それでは今日はこの辺りで、アドュー!
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