パーキンソン病の不随意運動!振戦とジスキネジアについて
繊細な作業が苦手で、集中すると、手がプルプル振えてしまうという皆様、こんにちは。
本日は、不随意運動についてお話していきます。
中でも、振戦はパーキンソン病の四大徴候であり、診断に用いられるほど、有名な徴候です。
国家試験の出題頻度が高いので、リハビリ職を目指している学生さんにも、分かりやすい解説を心がけたいと思います。
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不随意運動とは
不随意運動は、文字通り「意図しない動き」が出現する、錘体外路徴候のひとつです。
身体が勝手に動くと、周囲の目が気になるので、QOLを大きく低下させます。
まずは、この徴候を理解していきましょう。
不随運動が起こる原因
神経伝達物質であるドーパミンが不足すると、ガソリンが切れた車のように、動けなくなります。
反対に、血中のドーパミン濃度が過剰になると、動きたくないのに、動いてしまいます。
これは、L-dopaの長期および、大量の服薬時に出現しやすくなります。
不随意運動を止めようと、医師に相談せず、自己判断で服薬調整(飲む量や時間)をする人がいますが、絶対に止めましょう。
安静時振戦
振戦は、手指、足趾、手関節、下顎部などにみられる、3~5Hzの規則的な振えになります。
手指に出る場合、親指と人差し指の腹で、丸薬をこねるような動きになります。
動画のように、1秒間に4回ほど、こねてみて下さい。このリズムが振戦の特徴になります。
結構早いペースですが、これが1日中続くとなると、結構なストレスですよね。
振戦が片側にみられる場合、Hoehn-Yahrの重症度でⅠ度に分類されます。
両側に出現するとⅡ度になるので、両手足の観察をしていきましょう。
ジスキネジア
動きとしては、荒れた海で船に乗っているように、全身が前後、左右に揺れた状態になります。
振戦とは違い、規則性がなく、姿勢保持も難しい状況に陥ります。
ジスキネジアは、目立つし、疲れるため、患者さんから「何とかしてくれ!」と、訴えられることもあります。
身体の動きを、止めようと、汗だくになり、結果、体力を奪われてしまうのですね。
反対に、流れに逆らわず、身を任せる方が楽な場合もありますので、アドバイスしてみて下さい。
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不随意運動の評価
振戦とジスキネジアは、共に不安感や焦燥感など、メンタルに左右されます。
また努力性の高い動作や、痛みを我慢している時などにも、増強することが多く確認されます。
評価で確認しておきたい項目は、
・安静時と動作時の差
・不随意運動が強い時間帯の確認
・服薬時間との関係性
・入浴後など体温の変化による違い
・姿勢による不随運動の変化
といったところでしょうか。
もしも座位よりも、立位の方が不随意運動が少ないのであれば、立って食事をするなども視野に入れます。
ジスキネジアが強い方の中には、髪を切る時は、立ちながら切ってもらう方がいました。
お行儀が悪いかもしれませんが、必要に応じて、姿勢を変えるなどの対策をしてみて下さい。
不随意運動への対応
姿勢による変化を、しっかり評価することで、これらの徴候を、抑制できる可能性があります。
不随意運動が弱くなる姿勢、強くなる環境を試行錯誤し、把握しておくことが必要ですね。
・深呼吸させて呼吸のみに集中させる
・立位にしてあえて緊張感を与える
・側臥位で抱き枕を掴ませてみる
・テーブルにつっぷした座位を取らせる
・ベッドの足の部分をMAXまで上げる
接地面積を増やしてみたり、あえて不安定にさせてみたり、改善がみられる共通点を見つけてあげましょう。
経験上、1番効果が高かったのがこの姿勢です。さらに、深呼吸を促して、頭の中は、呼吸のことだけを考えるよう促しましょう。
おわりに
残念ながら運動療法だけでは、不随意運動を改善させることは、難しいでしょう。
不随意運動の特徴を把握し、環境調整および姿勢の工夫で、患者さんが少しでも安楽な状況を作ってあげることが、リハビリスタッフの介入方法なのかと思います。
あと注意して頂きたいのが、
× ふずい運動
〇 ふずいい運動 です。
早口言葉みたいで言いづらいですが、「い」が一個少ないだけで、全然、違う意味になりますね。
それでは今日はこの辺りで、アドュー!
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