運動失調の評価!筋収縮の異常から失調を捉えよう!

2018年9月3日

札幌も、半袖シャツ1枚で、外出できる気温になってきました。30°を超える日が続き、早くも夏バテ傾向の皆様、こんばんは。

運動失調は、ふらつき、ぎこちなさ、拙劣といった言葉で、片付けられてしまうことが多いです。

そこで今日は、このような現象を具体化するために、小脳性運動失調で観察される、筋収縮の特徴について、解説してみたいと思います。

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小脳と筋収縮の関係性

小脳は、目標を捉えるため、運動を正確かつ効率的にするように働いてくれています。

テーブルに置いてある、ペットボトルを掴もうとした時、小脳が、今までの経験から、必要な筋活動を調整してくれます。

これにより、適切な関節運動が選択され、ほぼ確実に、ペットボトルを掴むことができます。

だから「あれ?掴めなかった(笑)」なんてことは、まずあり得ませんね。

さらに、手元を見ていなくても、食べ物を掴んで口に運ぶ、といったことも簡単です。

これは「この辺にある」という、無意識のフィードフォワード機構と、指先が触れた感触から「ここか!」と微調整する、フィードバック機構によるものです。

このように、大脳の指令に対して、適切な筋収縮の調整をする、アドバイザー的な役割を、小脳が担っているということです。

筋収縮の異常について

小脳性運動失調では、入力される感覚には、問題がない、とされています。

そこで、出力する筋への命令が、誤作動した時、その影響が出る、筋の収縮について、解説していきたいと思います。

調整の異常

まず1つ目は、繊細な筋収縮が難しくなり、ダイナミック(爆発)になることです。

プレーシングをすると分かりますが、セラピストが与える小さい抵抗に対し、明らかに大きい力で返してしてきます。

強い力には、ある程度、合わせられますが、微細な力加減が上手くできないのです。

これは、運動失調でよくみられる、測定異常と関係しているものと考えられます。

皆さんも、ガードレールや平行棒などに、足を浮かせて腰掛けた経験が、あるかと思います。

実は、その時に、股関節や膝関節の微妙な屈伸運動により、重心を前後に調整しているのですね。

運動失調により、股関節の屈伸運動が、上手く調整できず、見積もりよりも大きい力が出てしまうと、バランスはとれません。

このように、筋発揮が爆発してしまい、微妙なコントロールが効かない場合は、大きい力に抗する練習から始めていきましょう。

徐々に抵抗を弱めていくことで、力の出し方を、学習させていくことが、望ましいと思われます。

円滑な収縮ができない

運動失調では、筋収縮の滑らかさが低下します。

必要な筋収縮を行う際、一定の速度を維持したまま、収縮することが難しくなります。

そのため、途中で止まったり、再度動いたりと、安定しない動きになります。

まさに回線が安定していない、スポーツ中継を観ているようですね。

これは、特に遅いスピードを維持しようさせると、著明に出現します。

腹臥位で足首に1~2kgの重錘を付け、ゆっくりと膝関節の屈伸運動(レッグカール)をさせてみて下さい。

屈曲する際には、ハムストの求心性で、重力に抗した運動になります。伸展する際は、遠心性収縮に切り替わり、ブレーキングを行います。

恐らく、失調があると関節運動が数回に分解され、カクカクっとした不自然な動きになります。

この時に、ハムストを触診すると、収縮が一定しておらず、円滑な筋収縮が困難なことを、実感できると思います。

滑らかな筋収縮が困難な方には、苦手な負荷やスピードを把握し、どのような条件なら、運動が分解されない、滑らかな運動が可能なのかを評価しましょう。

運動分解についてはこちら!

反復拮抗収縮が困難

運動失調では、主動作筋と拮抗筋の切り返しが遅れることで、反復拮抗運動障害が出現します。

前腕の回内外運動や、素早い踏み台昇降など、同じリズム、同じ速度で切り返す運動では一側が遅れたり、運動が小さくなることでリズムが崩れ、拙劣な運動になってしまいます。

このような筋収縮も、動作のぎこちなさに関係していると思います。それは、構音障害などで、舌の動きを評価すれば判ります。

 らららららら!

このような、舌を行ったり来たりさせる運動が苦手なため、特徴的な喋り方(構音障害)になるのだと思われます。

運動失調が軽度で、現象が捉えにくい場合には、切り返しが必要な反復運動を、高速でやらせてみて下さい。

筋収縮の速度低下

運動失調を呈する方は、必要なタイミングで収縮を開始できず、収縮の開始が遅れたり、最大筋力に達するまでに、時間が掛かる場合があります。

経験上、筋緊張の低下がある場合に、多くみられる印象があります。

恐らく、筋が緩んだことで、収縮してもパワーの発揮に、遅れが出ることが考えられます。

イメージ図で示すと、上の筋肉は筋緊張が維持されているので、起始~停止は、最短距離になっています。

反対に、緩んだ筋肉は、ダルンっと垂れ下がった状態になっています。

筋収縮が起こった際に、筋緊張が正常であれば、起始と停止が筋発揮により近づきます。

しかし、緩んだ筋肉では、収縮しても、垂れ下がった部分が縮む分、スタートに遅れが生じます。

また、緩みによるロスがあるため、最後まで筋が収縮しきれず、筋発揮がピークに達しない可能性があります。これは運動学で勉強した、筋の緊張と張力曲線からも分かりますね。

ちょっと、歩行で説明してみます。

MStでは中殿筋の、瞬発的な筋発揮が求められます。たとえMMTで筋力低下がなくても、遠心性収縮による、ブレーキングが間に合わなければ、股関節が固定できず、トレンデレンブルグ徴候が出現します。

このように、動作で必要な筋発揮が、タイミングよく出せているのか触診して、動作分析に役立てて頂きたいと思います。

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持続的な筋収縮が困難

運動失調がある方は、等尺性収縮や、同時収縮が苦手です。持続的な収縮を保持できず、ガクガク!っとした、断続的収縮になってしまいます。

これは、主動作筋と拮抗筋の、パワーの分散や調整が難しく、何度やっても、丁度良い収縮で保持できないのですね。

スクワットの姿勢で保持させた時、Quadとハムストの同時収縮により、膝は屈曲位で安定して止まっていられます。

しかし、どちらかが力を強めたり、弱めたりすると、膝はガクガクと不安定になってしまいます。この、しばらく同じ力を維持する!って部分が非常に苦手になるのですね。

この現象は、パワーの不均衡や、パワーの不足でも出現します。

例えば、図のようなフロントブリッジで保持させた時、腹直筋が等尺性に収縮します。

この姿勢をやってみると解かりますが、筋の疲労と共に、腹直筋が断続的に収縮し始め、ガタガタと身体が震えてきます。

筋のパワー不足や持久力低下は、失調を増強させる因子ですので、運動不足の部分があれば、しっかりと負荷を掛け、能力を引き出せるようにしていきましょう。

おわりに

評価では、筋力ばかりに目がいってしまい、筋収縮を細かく評価した随意性については、深く考察されないことがあります。

今日お伝えした、筋収縮や筋発揮の異常は、小脳性運動失調で特に観察されるものです。

ぎこちなさ、拙劣といった言葉を、具体化するための一助となればと思います。

また、他の疾患や、一般的な高齢者にも当てはまる部分が、多くありますので、運動学的に観察する力を、養って頂ければと思います。

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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