正常な起き上がり動作を可能にする!下肢に隠された役割とは

2018年8月29日

患者さんのために、日々、起き上がり動作分析に頭を悩ませている皆様、こんにちは。

皆さんは、普段、どのように起き上がっているのか、答えられますか?

寝返り動作と同様、起き上がるパターンは無限にあります。

動作分析をしようにも、何から手をつけてよいのか分からなくなるのも、無理もありません。

そこで今日は、起き上がり動作における、下肢の役割について、的を絞った解説をしていきたいと思います。

起き上がり動作について

開始と終わりの姿勢

起き上がり動作は、臥位から坐位までの動作で、考えられる組み合わせは以下になります。

開始肢位 終了肢位

背臥位
半側臥位
側臥位
腹臥位

座位

端坐位

背臥位から、一度寝返りをして、側臥位を経てから起き上がるなど、パターンは無限に広がっていきますね。

普段の起き上がり動作

起き上がり動作をする環境は、布団やベッドだけではありません。リビングでゴロゴロしていて、パッと起き上がることもあるでしょう。

しかし、寝ている状態から起きる時、大抵は、立ち上がるために起き上がますよね。

そのため、起き上がり動作をした!と意識することは、普段あまりないんじゃないでしょうか。

正常な起き上がり動作とは

以前も書きましたが、正常動作とは、いかなる条件下でも動作が遂行できることです。

起き上がり動作においては、

右側から起き上がって下さいという
「左右を指定したパターン」

腕を組んで起き上がって下さいという
「上肢を使わせないパターン」

一旦、横を向いてから起き上がるという
「側臥位から起きるパターン」

このように、どんな状況でも、何を指定されても、必ず起き上がれることが、正常な起き上がり動作になります。

そのため、柵があれば起き上がれる、柔らかいベッドだと時間が掛かる、というものは異常動作になるということです。

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起き上がり動作のメカニズム

それでは、なぜ起き上がり動作ができるのか?

この仕組みについて、解説します。

体幹筋の役割

起き上がりができない人を観ると、体幹筋が弱い!と疑う人が多いです。

果たしてそうでしょうか?

ちょっと動画を観て下さい、

生後6ヶ月の赤ちゃんだと、体幹の筋力は、まだ発達していませんよね。

さらに、身体に対して、頭も重いでしょう。

よって、起き上がれない=体幹筋の筋力低下、と結び付けるのは、少し早いと言えますね。

そこで次は、動画の赤ちゃんの足に注目してみて下さい。頭が浮くと同時に、両足が浮き上がっているのが分かると思います。

これは、氷の上で綱引きをしているように、引っ張りっこした両端が、お互いに近づいてしまっているのです。

これでは、体幹筋が強かろうが、弱かろうが意味がありません。

となると、体幹筋が活躍するためには、どこか、他の部分に鍵がありそうですね。

下肢の役割

起き上がる時、足が浮くという事は、屈筋群が優位に働いているということです。

では、股関節伸展筋群に引っ張ってもらい、邪魔をしてもらいましょう。

これにより、足が浮くことなく、重りとしての役割をしているので、身体の方が近づくことができました。

先ほどの赤ちゃんは、きっと、下肢の屈筋群がそれ程強くないため、体幹筋で無理やり起き上がれたのでしょう。

では、まとめると、

・下肢が重いと腹筋が使いやすい

・股関節屈筋群が強いと下肢が軽くなる

・屈筋群のパワーを制御する必要がある 

ということになります。

腹筋のトレーニングでは、誰かに足を抑えてもらうことで、これらの条件が全て満たされます。

屈筋群のパワーを制御する必要がなくなるので、腹筋の活動に専念できるので、楽に感じていたのですね。

起き上がり動作分析

2つの違いを確認する

例えば、Non-rotationのパターンで、背臥位から長坐位まで、起き上がり動作をさせてみます。

もし、一人では起き上がれないが、足を抑えたら難なく起き上がれた!というのであれば、下半身は重りの役割を果たしていません。

この場合、上半身には問題がないと判断できますので、下半身の評価に専念していきます。

その原因は、大きく分けると2つです。

股関節屈筋群が強い

まず、考えられるのが、腸腰筋や大腿直筋の活動が、強すぎることが挙げられます。

これを検証するためには、視覚フィードバックを用いてみます。

背臥位にさせた状態で、適度な重さのマクラを足に乗せます。その状態で、マクラを持ち上げないように、先ほどの腹筋運動をさせてみます。

浮き上がれば、力を入れ過ぎていることになりますので、一目瞭然です。

マクラの重さにより、動作の難易度が変わるので、最初は2個乗せても良いでしょう。

この重さを調整しながら、屈筋群のパワーをコントロールできるのか、できないのかを評価していきましょう。

伸展筋群と協調できない

先程も解説しましたが、屈筋群の邪魔をするのは、大殿筋やハムストリングスの伸筋群です。

ここのパワーが弱いと、下肢が持ち上がってしまうので、筋力に差がないのか?これを確認しましょう。

また、伸展筋群の筋力に問題がなくても、活動の開始が遅くては意味がありません。先に屈筋群が活動してしまえば、下肢はきっと持ち上がってしまうでしょう。

よって、同時収縮していても、パワーに差があるのか、収縮タイミングがズレているのか、協調性を疑ってみましょう。

起き上がり動作で解ること

さて、下肢が重りとして働く、そのメカニズムについて、理解して頂けましたか?

この能力を知っていれば、足を浮かさずに起き上れる人を観ただけで、股関節屈筋群のコントロールができているな!と見抜くことができます。

当然、下肢以外にも、各パーツ毎に役割がありますが、これらを、少しずつ把握していくことで、動作から患者さんの身体状況を知ることができるようになってきます。

道のりは長いかもしれませんが、今日が、その第一歩となればと思います。

おわりに

今回は、起き上がり動作を、下肢の役割に着目して解説してみました。

起き上がり動作には、他のパターンもありますが、下肢の重りとしての役割は、共通する部分が多いと思っております。

今日、明日の評価に役立つか分かりませんが、動作分析の足しにして頂ければ幸いです。

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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