立ち上がり動作分析!屈曲相の役割と評価の進め方

2018年8月27日

患者さんのために、日々、立ち上がり動作の分析を行っている皆様、おはようございます。

私たちは、普段の生活において、何不自由なく立ち上がっています。そのため、立ち上がり動作の評価では、いったい何を観れば良いのか、分からないという方もいらっしゃるかと思います。

そこで今日は、立ち上がりの初動である、屈曲相で観察して欲しいポイントを、お伝えしたいと思います。

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屈曲相とは

立ち上がり動作は、屈曲相、離殿相、伸展相の、3つの相に分けることができるよ!と教わったと思います。

屈曲相の動きは、股関節の屈曲による、体幹の前傾運動です。要するに、お辞儀の動作ですね。

開始肢位の端坐位から、お辞儀の動きが終わるまでを、屈曲相として観察していきます。

屈曲相の役割

なぜ、お辞儀をするのでしょう?

実は、屈曲相の役割は、座っている臀部に掛かっている荷重を、少しでも多く足部に移動することなんですね。

骨盤より上にあるもので、重たいもの、それは頭部です。だから、お辞儀をして、頭を前方へ移動することで、お尻に掛かっている圧を、抜いていくのですね。

頭が前下方へ落下する回転トルクは、臀部を持ち上げる力に変わります。

しかし、お辞儀をするだけではダメです。実は、この時に、多くの観察ポイントが隠されているのですね。

それでは、1つずつ説明していきます。

力を伝える3つの筋活動

まずは、頭の重さが伝わるメカニズムです。

頭から足部までは少し遠いので、3つの筋肉で分担しています。 

 ① 脊柱起立筋
 脊柱から骨盤へ力を伝える

 ② 大殿筋
 骨盤から大腿骨へ力を伝える

 ③ ハムストリングス
 骨盤から下腿へ力を伝える

このように、頭部が前下方へ移動した情報を、荷重として伝えるには、脊柱、骨盤、大腿、下腿といった、力の伝達が行われているのですね。

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屈曲相の評価方法

先程の説明で、屈曲相の役割や、立ち上がるまでの関節運動が解りました。

よって、このような動きができるのか?これを確認していきましょう。

筋活動を評価

まずは、端坐位でしっかりと腰椎を伸展し、骨盤が前後傾中間位で保持できるか、これを確認します。

次に、屈曲運動で体幹を前傾させた時、腰部の脊柱起立筋群、大殿筋、ハムストが活動しているか、実際に触って確認します。

もしも、これらの筋肉が、後方へ引っ張ることをしないと、どうなってしまうのでしょう?

切り倒された木が、地面に横たわるように、頭部はどこまでも落下を続けます。

脊柱起立筋群、大殿筋やハムストリングスのパワーが無い人は、このような前方移動に恐怖を感じます。だって、そのまま座面から転落してしまうのですから。

そのような場合、屈曲相では、あまりお辞儀をしない動きになります。

まずは、この3つの筋活動を、チェックしてみて下さい。

関節運動を評価

立ち上がりでは、下肢の筋力ばかりに目がいってしまいがちです。実は、腰椎、骨盤、股関節の運動連鎖が鍵なのです。

ちょっと実践してみましょう。

骨盤を、思いっきり前傾させながら、立ち上がってみて下さい。次は、後傾させながら立ってみましょう。

きっと、後者であれば、お辞儀が深くなったと思います。

これは、骨盤が後傾したことで、脊柱の丸みが生まれることが原因です。ここから、頭部の重さが逃げてしまうのですね。

もう1つは、大殿筋とハムストリングスの緩みです。骨盤が後傾すると、この2つの筋の、起始と停止が近づきます。

これにより、筋の発揮が弱くなり、頭部の重さが全く下肢に伝わらないのですね。

だから、より深いお辞儀になり、見た目的にも、エネルギー効率的にも、よくない立ち上がりになってしまうのです。

ここでは、頭部の重さを下肢に伝えるための、効率的な関節運動が可能なのかを、しっかりと確認しておきましょう。

能力を引き出す練習

動作の評価では、患者さんの能力を低く見積もってしまいがちです。

しっかりと能力を引き出してみないと、やろうと思えばできるのか?どうやっても本当にできないのか?が、判断できません。

そこで、屈曲相での評価では、良いお辞儀を、徹底的に練習させてみましょう。

 ① 腰椎が伸展するよう目線は高く

 ② 骨盤を前傾位で保持

 ③ この運動をゆっくり反復

 ④ お辞儀の姿勢でキープ

反復しているうちに、骨盤が後傾してこないように、しっかりと、良いお辞儀の条件を覚えさせます。

さらに、声掛けにより、お尻の荷重が抜けることを意識させましょう。

お辞儀の姿勢をキープさせた時には、起立筋群とハムストの活動を触って確認します。

端坐位では大殿筋が触れないので、大腿部を持ち上げてみて、ずっしりと荷重が乗っているか確認してみましょう。荷重が甘いと、簡単に持ち上がってしまうはずです。

このような練習を行ったにも関わらず、理想のお辞儀ができないのであれば、その時に、筋力が原因、脊柱の変形が原因、感覚鈍麻が原因、といった評価に移りましょう。

動作分析では、患者さんの能力を引き出しながら、それを見極めていくのが基本だと思います。

焦って答えを求めてはいけません。まずは、患者さんとしっかりコミュニケーションを取る!

それからでも遅くはないですよ!

おわりに

立ち上がりの動作を評価する時、

「いつものように立って下さい」

と、無茶なお願いしていませんか?

いつも通りと言われても、う~ん、どうやって立っていたっけ?となってしまいますよね。

また、患者さんが立ち上がっている姿を、横から観察していても意味がありません。

立てるんだ…ってことが分るだけです。

だから、患者さんに、このような動きをして下さい、ここで止まって下さい、といったように、動作を誘導しなくてはいけません。

この後、離殿相、伸展相と続いていきます。まずは、この屈曲相の評価方法を理解して頂ければと思います。

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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