深部腱反射の検査!打腱器でトントンすると何が判るの?

2018年9月3日

深部腱反射(DTR)の検査で、打腱器片手に、

「ちょっとこれでトントンさせて下さい!」

と言ってしまう、実習生の皆様、こんにちは。

打腱器といえば、養成校に入学した際、ゴニオメーター、メジャーと一緒に、買わされてしまう、三種の神器のひとつです。

今日は、せっかく買った打腱器を使用する、深部腱反射の検査について、説明していきたいと思います。

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深部腱反射とは

筋肉が収縮すると、骨が引っ張られることで、関節運動がおこります。

筋肉は、そのまま骨に付着しているのではなく、筋肉の端っこが腱と連結しており、その腱が骨に付着しています。

誰もが知っている、アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉が、腱となって踵の骨にくっついているのですね。

その筋から腱へ変わる部分を、筋腱移行部と呼びます。

深部腱反射とは、この腱を叩打(こうだ)すると、筋が収縮する、伸張反射のことを指します。

臨床場面では、DTRと呼ばれており、

 Deep(深部)

 Tendon(腱)

 Reflex(反射)

の頭文字を並べた、略語になります。

反射弓について

DTRのメカニズムを構成している、受容器、神経などを総称して、反射弓(はんしゃきゅう)と呼びます。

【反射弓の構成】
 ・筋紡錘(受容器+錘内筋)

 ・Ⅰa 感覚ニューロン

 ・α 運動ニューロン

 ・錘外筋

 ・γ(ガンマ)運動ニューロン

線維など、もっと細かく分けられていますが、ざっとこんな感じになります。

これらを、完璧に理解すると、国家試験の平均点で、1~2点は上ると思います。

まだ理解していない方は、こちらの記事へ

なぜ叩くの?

さて、深部腱反射のメカニズムは、薄っすらと見えてきましたかね?

しかし、頭だけで覚えていていはダメです。実際に臨床で使うためには、患者さんへのオリエンテーションが必要になってくるからです。

打腱器を見せて、ちょっとこれで叩きますね!

と患者さんに伝えた時、

 なぜ叩くの?

と聞かれたら、どうしましょう…。

また、実習生や後輩から、なんでDTRってやるんですか?と質問されたら、どうやって切り抜けましょう。

セラピストには、専門的な解説、患者さんには、分かりやすい解説、それぞれを分けて説明できますか?

生理学的な解説

では「あぁ、コイツ理解してねーな」と思われないために、解説例を記載してみます。

腱を叩打することで、筋肉は急激に伸ばされます。その「伸ばされた!」という情報は、感覚線維により、脊髄に届きます。

しかし、その情報は、脳に届けるのではなく、伸ばされた筋を縮めよう!という、運動の命令に切り替わります。

これを伸張反射と呼びます。

この反射は、錐体路が調整しているので、もしも、この反射が亢進していれば、錐体路徴候の判別ができます。反対に、低下していれば、末梢神経系を含む、反射弓のいずれかの異常を、疑うことになります。

よってDTRは、この神経系の興奮や、抑制の状態を知るための検査になります。

こんな感じでしょうか?

実際は、もっと細かいのですが、例文ですので、この位で勘弁して下さい。

患者さんへの解説

いくら生理学的に理解していても、それを、患者さんに伝えられなければ意味がありません。

患者さんへの説明には、身近なもので置き換えるのが良いかと思います。

人間の筋肉は、急に引っ張られると、肉離れを起こします。

そのため「はいっ!」って重い物を渡されても、腕が千切れないよう、筋肉って、いつでも力が入っているんですよね。

この機能って、車のアイドリングと一緒で、いつでも活動できます!という状態と一緒です。

だけど、特定の神経が興奮していると、このアイドリングが、もの凄い、空ぶかし状態になってしまうことがあるんですよね。

実は、ハンマーで関節を叩くと、その特定の神経の興奮状態が解るんですよね。だからこうやって、トントン叩きながら、確かめているんです。

こんな感じで、身近な物に例えて説明すると伝わりやすいんじゃないでしょうか。

そして、その後に得意の決め台詞、

「これでトントンしますね」でOK!

これからやる検査の意味が解っていないのに、身体を触るのって、もの凄い失礼ですよね。

だから、ちゃんとオリエンテーションで、納得のいく説明ができるよう、しっかりと検査の意義を頭で考えておきましょう。

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検査の方法

それでは、打腱器を使った検査方法について、注意点を交えながら、解説していきます。

打腱器の持ち方

この検査は、練習している、練習していないが、ハッキリと分かります。特に実習生にDTRをやらせてみると、たったの1回だけ叩かせれば、その技量が判ります。

多いのが、強く握り過ぎてぎこちない、また叩く位置が安定しない点です。

私の場合は、母指と示指の側面で軽く挟み、遊びが相当ある状態で叩打しています。

動画のように、緩く持つことで、小さい力でもスナップが効いて、効果的に腱を伸ばすことができるので、オススメです。

さらに、インパクトの瞬間だけ、握りこむように力を入れると、効果的にパワーが伝わります!

狙った場所に、しっかりゴムの部分を当てるのは、練習あるのみですので、たくさん練習して下さいね。

判定と記載について

反射は反応とは違い、刺激に対して毎回、同じ結果になるため、

 叩いた → 出た or 出ない

といった感じで、シンプルな結果になります。

叩いた後の反応によって、以下のように、プラスとマイナスを使って記載していきます。

反 応 表記方法
腱を叩いても出ない ( - )
腱を叩けば出る ( + )
増強したら出た ( ± )
筋腱移行部でも出る ( ++ )
筋腹で筋収縮する ( +++ )
筋腹で関節が動く ( ++++ )

腱を叩打して反射が出たのに、すぐに止めてしまう人がいます。

腱の次は筋腱移行部、そこで出たら筋腹、このように、順々に進めていきましょう。

叩打する場所について

学生さんに、どこを叩いたらよいのですか?と質問されることがあります。

膝蓋腱反射であれば、叩打する場所は分かりやすいですが、アキレス腱など、範囲が広い場所は分かりづらいようです。

答えは「どこを叩くのか」ではなく「どこを叩いたのか」です。

例えば、一側のアキレス腱を、内果と同じ高さで叩打したなら、反対側も内果と同じ高さで叩打します。こうしておけば、後日、再評価する際も、同じ場所を叩くことができます。

下肢内転筋反射であれば、股関節軽度外旋位で、内側上顆の3横指上で叩打した、など自分の中で、ランドマークを事前に決定しておくと、スムースに検査できます。

練習の時から再現性を意識して、叩打する場所に、ばらつきが生じないよう努めて下さい。

心配性で何回も何回も叩いてしまう方も、叩打する場所が決定していれば、1発で納得できると思います。

おわりに

養成校での実技試験にROM-t、MMTなどはありますが、DTRはあまり聞いたことがありません。

よってDTRに関する知識面、技術面がおざなりなまま実習に来る人が多いと感じています。

ただ単に叩く→反射を記載するだけであれば、それはただの作業です。

なぜ叩く必要があるのか、出てきた反応をどのように捉えるのかを、1度考えるきっかけになればと思います。

それでは皆さんが、上手にトントンできますように。

今日はこの辺りで、アドュー!

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