筋紡錘とは?~リハビリに役立つ神経生理学~

実習の最中にも関わらず、国家試験の勉強に余念がないPT・OTを目指す学生の皆様、こんばんは。

筋紡錘って言葉、伸張反射、筋緊張に関与しているらしいけど…、正直しっかり考えたことないかもって人、多いと思います。

今日、筋紡錘の役割と機能と完璧に覚えてしまって、うろ覚えからサヨナラしましょう!

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筋紡錘のメカニズム

それでは、各器官の名称を解剖学的に覚えやすく、かつ生理学的な役割が理解しやすくなるよう、図で説明していきます。

受容器の存在

筋紡錘は、骨格筋の中に潜り込んでいる、

6~8mmの紡錘状の固有受容器です。

筋紡錘の中央には、筋の長さを感じ取る受容器があり、これ自体は収縮することなく、ただ事務的に刺激を検出するために存在しています。

錘内筋の存在

受容器の両端には錘内筋線維が付いています。

錘内筋が収縮すると受容器が、

 引っ張られた!

と刺激を感知してくれます。

反対に錘内筋が緩んでいると遊びにより、受容器の感度は鈍くなります。

この受容器と錘内筋の2つを合わせて

「筋紡錘」と呼びます。

錘内筋は筋の中に入り込んでいますので、それ以外の筋線維は錘外筋と呼ばれています。

Ⅰa線維の存在

受容器が「筋が伸びた!」と感知すると、その情報は感覚神経によって伝えられます。

その役目はⅠa(ワンエー)と呼ばれる神経線維で、いつでも情報を伝えらるよう、受容器に巻き付いております。

情報をどこに伝えるかは後ほど説明します。

Γ 線維の存在

筋は運動神経の興奮によって収縮します。

錘内筋を支配する運動神経は、Γ(ガンマ)運動線維になりますので、この神経の興奮状態によって受容器の感度は変化します。

このガンマ運動ニューロンは錐体外路系なので、さらに上位の錐体路により支配を受けています。

そのため脳卒中片麻痺患者などにより、錐体路徴候が出現すると、ガンマ運動ニューロンの暴走が始まります。

これが筋に痙縮がでたり、深部腱反射が亢進する原因になっているのですね。

ここで重要なのは、Ⅰa線維は感覚神経で求心性に働き、Γ線維は運動神経で遠心性に働くということです。

この後も出てきますので、頭を整理するためにもう一度書いておきます。

 ⅠとかⅡなどのローマ数字は感覚神経

 α とか Γ などのギリシャ文字は運動神経 

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効果器への反応

さて、筋紡錘の役割は「筋が伸ばされた」という感知することであり、それを伝えるのはIa線維だということが解りました。

では次に、その情報がどこに伝えられているのか、またどのように処理されているのかを説明していきます。

Ⅰa線維は感覚神経なので、脊髄後索から脊髄に入ります。

脊髄に入ってきた情報ですが、これは脳には届きません。実は脊髄の中で、こっそり運動神経とバトンタッチします。

その運動神経はα運動ニューロンです。

そして同筋(伸ばされた筋)と、その拮抗筋に、それぞれ違った反応を起こします。

その違いをみてみましょう!

同筋への効果

例えば大腿四頭筋が伸ばされた場合、脊髄でα運動ニューロンに乗り換えた情報は、大腿四頭筋を収縮させることになります。

この仕組みは伸張反射と呼ばれるもので、深部腱反射のもとになっています。

例えば膝蓋腱反射では、

膝蓋腱を叩打

 1)大腿四頭筋の筋紡錘が伸張

 2)Ia線維が脊髄に情報を伝える

 3)α線維が情報を受け取る

 4)大腿四頭筋を収縮させる 

このような順で膝関節が伸展します。

このメカニズムに絡む組織を総称して、

反射弓(はんしゃきゅう)と呼びます。

要するに深部腱反射は、急な伸張により、筋が損傷しないための防衛機構だといえます。

雪道で足を滑らせた時や、仰向けで寝ている時に子供が飛び乗ってきた時、このメカニズムのありがたみを痛感します!

拮抗筋への効果

先ほどは大腿四頭筋が急激に伸ばされました。

実は、脊髄でα運動ニューロンに乗り換える際、インパルスは2つに分岐するのです。

1つ増えたインパルスは、拮抗筋であるハムストリングスに届きますが、これは大腿四頭筋の収縮を邪魔させないため、筋の緊張を緩めるという命令に変化します。

う~ん、ちょっと難しいですね。

・Ia線維からの入力は、2つのα運動ニューロンとシナプス結合する。

・それは同筋を興奮させ、拮抗筋を抑制させるためである。

このように2つの効果を出すために、筋紡錘が働いてくれているのですね。

ストレッチへの応用

先程の効果は、相反抑制支配されている筋において作用します。

このメカニズムを上手に使うと、筋力訓練やストレッチの効果を高めることができます。

先ほどの例を挙げると、大腿四頭筋のα運動ニューロンの興奮は、ハムストリングスを抑制させます。

例えば抵抗運動!

膝の伸展運動に抵抗を掛けたり、セラバンドや重錘などで大腿四頭筋をガンガン収縮させると、当然ながら大腿四頭筋のα運動ニューロンは興奮状態になります。

そうなると、ハムストリングスは抑制状態となるので、筋は弛緩します。

これをIa抑制と呼び、筋トレのような動きをしながらも、ストレッチができてしまうのですね。

反対に大腿四頭筋の筋を促通したい場合には、ハムストリングスのα運動ニューロンを、ストレッチなどで抑制してあげるとよいでしょう。

筋の緊張やコンディショニングは、PTの仕事です。ストレッチや筋力訓練をやる際のテクニックとして覚えて頂ければと思います。

おわりに

さて、今回は筋紡錘の役割とそのメカニズムについて説明してみました。

国家試験でも出題されることのある筋紡錘、こいつを知っていて損はないと思います。

また深部腱反射の検査を行う際にもきっと役に立つ知識だと思います。

これから実習が始まる学生さんには、過去の記事も合わせて読んで頂ければと思います。

それでは今日はこの辺りで、アドュー!

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